コンパクトデジタルカメラの新作「FUJIFILM X100VI」。
前モデルから約3年強。すでに購入を決意している人も少なくないかもしれません。軽く触ってみたレビューで大絶賛していた米Gizmodoが、今度はじっくりチェックしてレビュー。やっぱり大絶賛しています。
「FUJIFILM X100VI」触ってきた。超キビキビ動くTikTok世代のカメラだ 富士フィルムが発表した、コンパクトデジタルカメラの新モデル「X100VI」。3月下旬発売、市場想定価格は28万円強の高級コンデジです。前モデルであるFUJIFILM X100Vから3年強。カメラ好きなガジェットファンには待望の新モデルと言っていいでしょう。カメラを、写真を撮るということを、シンプルに楽しめるカメラです。2010年スタートのレンズ一体型カメラ、コンデジX100シリーズ。今回で6代目 https://www.gizmodo.jp/2024/02/fujifilm-x100vi-handson.htmlカメラで写真を撮るということの楽しさを思い出させてくれる一品。また撮りたい、もっと撮りたいって思えるカメラ。ただ、それゆえに万人向けではないのですが…。
X100VIは3月28日発売、価格は28万1600円。
先に言っちゃいますが、FUJIFILM X100VIは誰にでもオススメできるカメラではありません。マス層向けではないんです。一部の人に猛プッシュしたくなる品。ここ最近ずっと忘れていた写真の楽しさや情熱を思い出させてくれるカメラです。
カメラとしてはとってもシンプル。23.5ミリの固定焦点レンズ搭載で、40.2MPでディテールまで美しい見事な写真が撮れます。写真&カメラ好き全員にオススメしたいと思いつつ、28万円超えの高級コンデジはなかなか難しい。購入に勇気が必要ですから。
FUJIFILM X100VIは、2020年リリースのX100Vの後継機種(モデル名とナンバリングが継続されているのわかりやすくてありがたい!)。約3年、いや4年を経てアップグレードされた大きな部分は2つ、画素数と手振れ補正。前モデルの26.1MPから40.2MPは大きなジャンプアップ。シリーズ初となる内手ぶれ補正IBIS(5軸)を搭載。
「近く&低く」を意識して
Photo: Artem Golub - Gizmodo USこの値段でコンパクトカメラなんて、他にもっとあるでしょ? なんでこれ選ぶ? と思う人も、中にはいると思います。
私がカメラを始めてから最も心に残っているアドバイスは、「もっと被写体に近づいて、もっと目線を下げて」。写真を撮るときはいつもこれを思い出すようにしています。
もちろん遠くから撮ったショットも、上から撮ったショットも、素敵なものはたくさんあります。ですが、写真初心者にとって近く&低くは、通常の目線や距離では気づかないもの、見えない角度を知るためにとても大切な視点です。写真のすべては構成、フレーミングにあり、それを最も楽しめる(学べる)のがFUJIFILMのこのシリーズなんです。
固定焦点レンズのコンパクトなカメラほど、近く&低くの背中を押してくれる存在はありません。ハンズオンレビューでも感じた通り、この制限があるからこそクリエイティビティが刺激されるのです。
あの情熱をもう一度
私がローカルメディアの取材カメラマンをしていたころ、学校や地方政府の取材ではとにかく室内撮影が多かったのです。あのころNIKON D3400を取り出して、外で思いっきり好きなように写真撮りたいなって強く思っていたはずのに、気がつけば仕事に追われて、その情熱はなくなっていました。
あのころのあの気持ちを、ひさしぶりに思い出させてくれたのがFUJIFILM X100VI。
フィルムモード「Reala Ace」Photo: Artem Golub - Gizmodo US フィルムモード「Acros」白黒
Photo: Artem Golub - Gizmodo US
このカメラを手に取ると、自然光の中で新しいアングルを探し続けてしまいます。だって楽しいから。新しい角度を見つけると、その視点から見えるまた新たなディティールに魅了されます。昔からのカメラ&写真好きには当たり前のことでも、初心者または写真への情熱を忘れていた人からしたら、これが楽しくてしょうがない!
FUJIFILMが生産工場を中国に変えたことで、品質を不安視する声もあるそうですが、少なくとも自分はまったく問題を感じませんでした。カラバリの黒もシルバーも、どちらも以前のモデルと変わらぬ美しさです。
まぁ、あるゆる視点からすべてが完璧かといわれたらそうでもないのですが。フィルムカメラみたいな見た目なんですが、撮影感覚はやっぱりフィルムカメラとは違うんです。当たり前か…。これで完璧じゃないとかいったら怒られますね。
いや、でも、シャッターを切る感覚やカメラが出す音を、もう少しフィルムカメラに寄せてもよかったのではということを言いたいわけです。その上、スクリーンはもうちょいいろんなアングルからも見えやすいように、自由度あってもよかったのかな、値段的にも(贅沢なこといっているのは重々承知しております…)。
Photo: Artem Golub - Gizmodo USオススメ&ベストな撮影設定はFine + RAW! 理由は当然JPGフォーマットで最高画質かつRAWファイルもゲットできるからです。
FUJIFILM X100VIは被写界深度設定も豊富です。オートモードも素晴らしいので、露光の調整がまだ苦手という初心者は潔くオートでOK。
ホワイトバランスやシャッタースピード、ISOの理解が深まってきたら、設定をいろいろいじるのも楽しいです。FUJIFILMの設定メニューは、カメラ業界の中で一番複雑とはいいませんが、それでも初心者的にはちょっと複雑。忍耐と練習と慣れは必要です…。
一方で設定を全部自分でいじらなくても、このカメラの魅力は堪能できます。シャッタースピードとか絞りとかよくわかんない!という人は、フィルムシミュレーション設定で楽しみましょう。フィルムを製造してきたFUJIFILMらしい設定です。ハイコントラストな「Reala Ace」モードが追加されています。
動画撮影時は手ぶれ補正もありがたい。もちろんアクションショットを撮影するときのステディカメラほどではないものの、歩きながらの撮影程度のブレなら十分軽減してくれます。
FUJIFILMのアプリで、Bluetooth接続してスマホと連携できるので、撮影後すぐにSNSにあげることもできます。
どんな人向け?
Photo: Artem Golub - Gizmodo US2020年、X100VはTikTokユーザーに非常に人気がありました。レトロなデザインとフィルムモードのミミックがウケました。新モデルのFUJIFILM X100VIもその流れは継続されそう。
ただ、動画撮影を考えると、Vlogに適したカメラやスマホの方が使い勝手はいいです。FUJIFILM X100VIの価格を考えても怖気付きます。
てことは、やっぱりFUJIFILM X100VIに向いているのは、写真を撮ること自体を楽しみたいという趣味の人。固定焦点レンズという限られた中で、フォトグラファーとしての自分の腕を磨きたいという人。もしくは予算たっぷりある人かな。
前モデルのX100Vを愛用している人は(手ぶれ補正と画質UPが死活問題という人でなければ)、買い替えなくてもいいと思います。写真を楽しむというこのシリーズの真の良さは、前モデルも新モデルも同じだから。確かに画質は26.1MPから40.2MPにアップしていますが、ネットでの投稿が主という人には大きな問題にはならなさそう。
繰り返しますが、これだけは確信を持って言えます。X100VIと一緒だと、本当に写真を撮るのが楽しい。こんなに楽しいのいつぶりだろう?とセンチメンタルな気持ちになるほど楽しい。その楽しさもあってか、X100VIが撮る写真は自動設定にしていても、すべていい出来になります。
この気持ちを味わいたいなら、買って損はない!
以下、撮影した写真です(ウェブ掲載で画像が圧縮されていることはご理解ください。RAWのベスト状態をお見せできないのが残念)。
Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US Photo: Artem Golub - Gizmodo US