AIが設計したフェースインサートを搭載したオデッセイの「Ai-ONE」シリーズ。昨秋に発売になるとたちまち人気となり、今春、新たに7モデルが追加されたが、今度は中尺パターの「Ai-ONEクルーザー」シリーズが登場した!

革新的なパターを
作り続けてきたオデッセイ

2000年にウレタン素材の「ホワイト・ホット」インサートをリリースして以来、これまで20数年にわたってツアー使用率ナンバー1をキープし続けるオデッセイ。豊富なラインナップで、個々の選手の好みやストロークに合わせて最適なモデルが選べるのがオデッセイの強みである。02年に「2ボール」、07年には「ホワイト・ホットXG」シリーズでツノ型の「#7」を登場させるなど、常に革新的なパターを生み出してきた。カーボンとスチールの複合シャフト「ストロークラボ」もオデッセイが開発した。

四半世紀近くツアーで信頼され続けている「ホワイト・ホット」だが、いろいろな素材や加工を施したインサートも開発され、04年の「ホワイト・ホット」の表面にスチール素材を配した「ホワイト・スチール」、11年「ホワイト・ホット・ダマスカス」、12年「メタル・X」、15年「フュージョンRX」。そして17年には金属製のヒンジで順回転をかける「マイクロヒンジ」シリーズと、ウレタンと金属を組み合わせたインサートも生まれてきた。

中・長尺パターの
「クルーザー」シリーズ

そして、昨年登場したのがAIの設計による複雑な隆起を形成したアルミインサートの表面にウレタン樹脂を配し、「ホワイト・ホット」の打感、打音に近づけた「Ai-ONE」インサート。芯を外しても初速が落ちず、しっかり転がってくれると、すでに多くの選手が使用している。そして今回、新たに加わったのが、この「Ai-ONE」インサートを採用した中尺モデル、「Ai-ONE クルーザー」シリーズだ。

この「クルーザー」という名前を覚えている人もいるかもしれない。オデッセイでは「2ボール」のときから長尺パターが用意されていたが、14年の「タンク・クルーザー」で初めて38インチの中尺パターがラインナップされた。それから10 年、新しい「Ai-ONEクルーザー」シリーズは「クルーザー」(中尺)、「アームロック」、「ブルームスティック」(長尺)という3つのパッティングスタイルに合わせて全5モデルをラインナップした。

「やはり一昨年からの『ジェイルバード』の活躍の影響が大きいです。偶然ですが『ヴァーサ ジェイルバード』も『タンク・クルーザー』と同じ14年発売。これを中尺にしたものを22年のZOZOチャンピオンシップでキーガン・ブラッドリーが使い優勝。すると昨年1月からリッキー・ファウラーも『ジェイルバード』を投入し、パッティングが復調。

3月にはファウラーと練習ラウンドしたオクラホマ州立大学の後輩、ウィンダム・クラークからも、『ファウラーと同じパターが欲しい』と注文が入りました。そして全米オープンでは同じパターを使うファウラーとクラークの2人が優勝争いをしクラークが優勝。翌週のトラベラーズ選手権ではキーガン・ブラッドリーが勝ち、続くロケットモーゲージクラシックではリッキー・ファウラーが4年ぶりの復活優勝と、『ジェイルバード』が3週連続優勝を飾りました。この活躍を受け、昨夏にはファウラーのモデルを再現した『リミテッドエディション ジェイルバード380』を復刻発売しました」とは日本のキャロウェイでクラブ開発に携わってきた田野弘幸氏。

ストロークに悩む人に
中・長尺パターの選択肢を

「もちろん『ジェイルバード』の活躍もありますが、『普通の中尺が欲しい』というゴルファーの声が増えていたのも事実です。オデッセイで中尺がラインナップされていたのは17年の『オー・ワークス』が最後だったんです。そもそも中・長尺パターを使ってみようと思う人はストロークに悩んでいる人。ストロークを安定させたいから、勝手に動いてくれる重たいヘッドが欲しいんです。しかし大きくて長いものは操りにくく、ロングパットがブレやすくなってしまいます。でも、逆に芯を外してもスピードが落ちないメリットもあり、元々大きなヘッドは慣性モーメントが高く打点のブレにも寛容です。そこにAIが設計したミスに強いフェースが加われば鬼に金棒。そこで今回の発売に至りました」(田野氏)

ウィンダム・クラークが
スイッチして即優勝

中尺の「Ai-ONE クルーザー」のヘッドは人気の「#7」、ブレードタイプの「ダブルワイド」、そして「ジェイルバード」の3モデル。ヘッド重量は約380gで38インチ、140gのストロークラボ スチールシャフトと17インチのグリップを装着。なかでも「Ai-ONE クルーザー ジェイルバード」は先月のAT&Tペブルビーチプロアマ直前にウィンダム・クラークがスイッチし、その週にコースレコード「60」を叩き出していきなり優勝。2番パー5で11メートルのバーディパット、6番パー5では12メートルのイーグルパットを決め、8番、9番も8メートル前後を決めるなど、この日、決めたパッティングの総距離は約58メートルと、「Ai-ONE クルーザー ジェイルバード」が見事勝利に貢献した。

パッティングに悩める
ゴルファーへの福音

「ストロークを安定させるためにはどうすればいいのか。考えられることをすべて集約したのが『Ai-ONE クルーザー』です。慣性モーメントの大きい重たいヘッド、ミスしても初速が落ちないインサート、シャフトも長くなっただけではなく、しならないようにトルクを絞りました。そして短く握ると手元が余って支点が生まれ、安定感が出る長いグリップ。すべてストロークを安定させようとした結果なんです。プロだけでなく、1打の重みを知る競技志向のアマチュアなど、パッティングに悩んだ結果、中・長尺パターを使っている人は意外と多いんです。そういった人に、このパターを使ってもらいたいですね。必ずや力になると思います」(田野氏)

PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos