去年10月、北海道釧路市で高齢女性2人をはねて死亡させた罪に問われている88歳の男の裁判が釧路地裁で始まり、検察は禁錮1年10か月を求刑しました。

 根室市の無職・中塚正悦郎被告(88)は去年10月、釧路市春採7丁目で車道を歩いていた市内に住む87歳の女性とその友人で90歳の女性をはねて死亡させた過失運転致死の罪に問われています。

 中塚被告は車いすに乗って釧路地裁に出廷し、被告人席への移動は、杖を突いて体を震わせながら歩いていました。

 9日の初公判で中塚被告は「検察の言う通り、間違いありません」と起訴内容を認めました。

 続く被告人質問では、補聴器を着用するものの、検察や裁判官に質問をされても聞こえていない様子だったり、質問をされていないにもかかわらず、「反省しています」と何度も繰り返したりする場面がありました。

 また、弁護側の被告人質問で去年、一時停止違反で検挙されていたことを尋ねられると、中塚被告は「いずれは近いうちに返納しなきゃいけないと考えていた」と話しました。

 論告で検察は「運転者として最も基本的な注意義務を順守していれば回避できた」と指摘し、禁錮1年10か月を求刑。

 一方、弁護側は「被告は反省していて運転免許を返納し、今後運転するつもりはないと話している」と主張し、執行猶予付きの判決を求めました。

 裁判は即日結審し、判決は29日に言い渡されます。