腸活や免疫力アップのため、ヨーグルトを食べている人も多いでしょう。ヨーグルトは乳酸菌を含むほか、実は私たちの体作りに欠かせない栄養素も豊富です。せっかくなら効率良く食べたいですよね。5月15日は「ヨーグルトの日」。記念日にちなみ、ヨーグルトの栄養や効率良く食べるタイミングについて、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

菌だけではない! ヨーグルトの栄養

 ヨーグルトといえば、腸内環境を整えるビフィズス菌や、乳酸菌を含む発酵食品のイメージが強いかもしれません。加えて、生乳や牛乳などが使われているため、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素も含まれています。

 日本食品標準成分表2020年版(八訂)によると、ヨーグルトは通常タイプのプレーンヨーグルトと呼ばれる「全脂無糖」に加え、「低脂肪無糖」と「無脂肪無糖」の3つに分けられています。それぞれの100グラムあたりのエネルギー、たんぱく質、カルシウム、脂質は次の通りです。

○エネルギー
全脂無糖:56キロカロリー
低脂肪無糖:40キロカロリー
無脂肪無糖:37キロカロリー

○たんぱく質
全脂無糖:3.6グラム
低脂肪無糖:3.7グラム
無脂肪無糖:4.0グラム

○カルシウム
全脂無糖:120ミリグラム
低脂肪無糖:130ミリグラム
無脂肪無糖:140ミリグラム

○脂質
全脂無糖:3.0グラム
低脂肪無糖:1.0グラム
無脂肪無糖:0.3グラム

 エネルギーが高い脂質の含有量が少なければ、低カロリーになります。しかし、たんぱく質やカルシウムの量に大きな違いはありません。とくにカルシウムは、同量の牛乳が110ミリグラムなので、どのヨーグルトを食べてもほぼ同じ量を摂取できることがわかります。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢を起こしたりする乳糖不耐症の人には、ヨーグルトがおすすめです。

 日本人の食事摂取基準で示されているカルシウムの1日の推奨量は、男性18〜29歳が800ミリグラム、30〜74歳が750ミリグラム、女性18〜74歳が650ミリグラム。カルシウムは不足しがちな栄養素のひとつなので、ヨーグルトを上手に取り入れて補っていきたいですね。

効果的な食べるタイミングとは

 そんなヨーグルトの栄養成分を効率良くとるために、食前がいいのか、食後がいいのか、タイミングで迷うこともあるのかもしれません。結論からいうと、一般的には食後が好ましいといわれています。

 これは空腹時に食事をすると、ヨーグルトのビフィズス菌や乳酸菌などが胃酸の影響を受けて腸に届きにくくなると考えられているからです。朝食の最初にヨーグルトを食べるのは避けたほうがいいといわれるのも、朝は胃酸の働きが活発であることに理由があります。しかし、ビフィズス菌や乳酸菌が死んでしまっても、腸内で善玉菌を作る有効な働きが期待されているので、腸内環境を整えるメリットでいえばあまり神経質になる必要はありません。

 近年の研究では、ヨーグルトに含まれるたんぱく質や乳酸には血糖値の急上昇を抑える効果があるといった報告も。こういったメリットも含めて、生きて腸に届くことで発揮される乳酸菌などの働きに期待するならば、食後に食べたほうが効果的といえます。空腹ではない状態で胃酸の影響を受けにくくしてから、ヨーグルトを食べるほうがいいでしょう。

ヨーグルトと相性のいい食材とは

 ヨーグルトのビフィズス菌や乳酸菌をいかすためには、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を一緒にとるのがおすすめです。たとえば、オリゴ糖を含むキウイフルーツやバナナなどに食物繊維が豊富なアーモンドやクルミ、カシューナッツなどのミックスナッツをトッピングすると食感も良く、ヨーグルトのメリットを摂取できます。

 また、カルシウムの吸収を促すビタミンDは魚類や干しシイタケ、キクラゲなどに、カルシウムを取り込むことを骨に促すビタミンKは納豆やワカメ、小松菜やブロッコリーなどに含まれています。こういった食材を使った食後のデザートに、ヨーグルトを食べるのもいいかもしれません。

 ヨーグルトの1日の適量は100〜200グラムといわれています。一度に大量に食べればいいというものではありません。日々の食事で適量をバランスよく食べましょう。

Hint-Pot編集部