画像は床田

 

5月7日  〇2−0阪神(甲子園球場)
広島 100 010 100・2
阪神 000 000 000・0

広島通算29試合12勝13敗4分け(最下位から5位浮上、首位阪神まで2・5差)
18時分開始・2時間55分、42,606人
相手先発 ●村上7回5安打2失点
広島本塁打 −
阪神本塁打 −
広島登録抹消 −

広島スタメン
一番センター秋山
二番ライト野間
三番セカンド菊池
四番サード小園
五番キャッチャー坂倉
六番レフト宇草
七番ファースト堂林
八番ショート矢野
九番ピッチャー〇床田(6試合3勝2敗)7回1/3、125球7安打無失点

 

前日の甲子園での初戦は雨で流れて、この日はいきなりの注目ゲーム。予告先発が一週間前のマツダスタジアムで投げ合った広島・床田と阪神・村上だったから、だ。

 

結果は7回と1/3を投げた床田が7安打無失点で勝ち投手。7回5安打2失点、ただし自責ゼロの村上が負け投手。

 

…で、この日を終えてのセ・リーグ投手成績は…

 

1位村上 防御率0・88
2位床田 防御率1・28

 

…という、凄まじい状況になった。甲子園に詰めかけた両軍ファン、その数42,606人は今季最多。しかも終盤、点こそ入らなかったが阪神打線が”猛虎反撃”の姿勢を見せたからスタンドは春の嵐のようだった。

 

床田にとっては特別な意味のある登板になった。対村上という意味で…

昨シーズン9月8日の甲子園。床田5回3失点で負け投手。村上7回1/3、1失点で勝ち投手

今季は4月9日、やはり甲子園で投げ合って床田7回1失点で負け投手、村上7回無失点で勝ち投手。

そして前回4月30日が床田6回3失点で負け投手、村上9回完投1失点で勝ち投手…

やられっ放しでいいはずもない。…なので床田は秘策を練ったはずだ。手本は3日前、マツダスタジアムでのDeNA戦で投げて打っての活躍で、チームを勝利に導いた森下。チーム内投手打撃王争いの好敵手でもある右腕に負けてはいられない、という訳だ。

初回に先頭・秋山の一塁線を抜く二塁打を突破口にして相手のエラー絡みで1点(初の四番に入った小園の犠飛)先制した広島だったが、危うく一週間前のように”スミ1”(前回は初回、秋山の初球ホームラン)になるところだった。

迎えた五回、一死から堂林のハーフライナーがセカンド前で弾み、中野がバウンドを合わせ損ねた。初回のエラーが失点に直結した中野はきっと固まってしまったのだろう。

続く矢野は初球、低目の137キロ打ち上げてサードフライ。そして床田の出番となった。

初球130キロのフォークをファウル、2球目外角146キロボール、3球目134キロのカットボールをファウルで1−2と追い込まれたが、そこで終わらないのが床田だ。

 

膝元への147キロはわずかにボール、続いて内角に村上全力投球の146キロが来てこれもファウルした。続いての146キロもファウルにした。3球続けて内角へのストレート…7球目を投げる前に阪神バッテリーは間を取った。そうさせた床田がすゴイ!

 

そして阪神バッテリーが選択した膝下のカーブをライト前に弾き返したのだった。

 

二死一、二塁となって秋山…だから阪神バッテリーにとってこれほど嫌なことはない。真っすぐ連投、力で抑えにかかってきた村上を秋山のバットが打ち砕いた。レフトへタイムリー。この1点がなければ、もしかしたらまた村上にまた勝ちがついていたかもしれない。

 

七回の二死満塁のピンチを乗り切り104球で八回のマウンドに上がった床田は、先頭の近本に11球目を中前打された。打球は床田が必死に出すグラブの先を抜けて行った。”限界”ランプが点灯した瞬間だった。

 

続いて2安打2失策の中野。今度は床田がワンバウンドを捕球して1・6・3…だったがファーストはセーフになった。

 

交代するならここが最後のタイミングだった。カープベンチはしかし動かなかった。

 

続くノイジーに中前打され一死一、三塁で代走が植田、球数121球。

 

苦しい場面を迎えて大山への投球は抜け気味になりストレートの四球で満塁。そして島内が救援マウンドに上がったのである。

 

 

佐藤輝154キロ見逃し三振、森下二ゴロ。島内の154キロの真っ直ぐが広島ベンチと床田を救った。試合後、インタビューを受けた島内は「ひたすら”ごめん”と言われました」が「そんなことないですよ」と返したという。人柄がマウンドでもマウンド外でも滲み出る。

 

開幕から30試合消化を目の前にして、新井カープ2年目は極端な投高打低の傾向にある。1点の重みは阪神相手、村上相手のようなケースではさらに重いものになる。

 

”2点取られたらほとんど負け”だから一発警戒はもちろんのこと、得点圏に走者を背負っても島内のように強い精神力で向かっていく姿勢が欠かせない。この日の阪神計4投手は与四球ゼロだった。このカード、しびれるような投げ合いはこの先何度でも繰り返されることになりそうだ。(ひろスポ!取材班&田辺一球)