シンガー・ソングライターのさだまさしの呼びかけで泉谷しげる、南こうせつ、森山良子、サンドウィッチマンらが19日、名古屋国際会議場センリュリーホールで能登半島地震の被災地支援コンサート「がんばれ能登 緊急支援チャリティーコンサート」を行った。コンサートでの収益金は、さだが設立した「公益財団法人・風に立つライオン基金」を通じて被災地への支援金として届けられる。

 さだと泉谷は、長崎・雲仙普賢岳の大噴火(1991年)以来、北海道南西沖地震で大津波の被害を受けた奥尻島の救援(93年)、阪神・淡路大地震(95年)、そして東日本大震災(2011年)や熊本地震(16年)など、自然災害が起こるたびに被災地支援を呼びかけてきた。

 特に、東日本大震災以降はさだと泉谷の2人で被災地を回ることが多く、お互いに「ライフワークのようになっていた」と言う。今回の支援コンサートもその一環で行われることになった。最近では台湾東部沖地震や2日前には愛媛・高知でも震度6弱の地震が起こっている。それだけに「お互いに助け合い支え合っていかなければならない」と泉谷は話した。

 2人は、15年9月の「関東・東北豪雨」で鬼怒川が決壊し、甚大な被害を受けた茨城県常総市でも、災害から1か月後に避難所を慰問してミニライブを行ってきた。それから9年。今回の能登半島地震では15日に能登半島の被災地である珠洲市や能登町、穴水町を半崎美子、相川七瀬らと共に訪れ、義援金や各所の神社での奉納ライブを繰り広げてきた。

 さだは「災害にあたっては悲しいほど無力感に襲われる」と口にした。「音楽家に出来ることはとても少ない。ただ、2か月ぐらい経つと、本当に音楽が必要だなって思うようになってくるんですね。しかも、被災地にとって一番辛いのは忘れ去られてしまうことなんです」。周囲に呼びかけた結果、南こうせつや森山良子をはじめスターダスト☆レビュー、さらにはサンドウィッチマンも賛同。また、東京で予定していたライブを押して山崎まさよしも駆けつけるなど、総勢10組が一堂に会してのスペシャル・コンサートを繰り広げた。「心ある素晴らしい仲間たちと共に、災害に苦しんでおられる方々へ、忘れないよ。ちゃんと応援しているよって言うサインは送り続けていきたい」とさだは力強く語っていた。

 こうせつは「今、コンサートをやることは意義がある。災害が起きた時は本当に何も出来ないけど、でも、そこで止まっている場合じゃない。大変だけど、こうやって歌を届けことでみんなの心が満たされ、明日からも生きていこうなと言う気持ちにもなる」と訴えていた。

 一方、泉谷は「とにかく、地震バカヤロー!って言いたい気分だよね」とした上で「この前、さだと能登に行ったように、俺たちが自ら行くことで、安全になったことをアピールすることも重要なんだよ。俺たちが、率先してやなきゃダメ。俺は今年9月には珠洲市から呼ばれているし、そこで無料ライブをやる」と意欲を見せていた。さらに森山良子も「集まったみんなで、被災地の方々に元気を感じて貰えば最高だと思っている」と語っていた。

 山崎まさよしの「セロリ」で幕を開けたステージは、さだが「道化師のソネット」、南こうせつが「神田川」、スターダスト☆レビューが「木蘭の涙」、さらにはさだと吉田正美のグレープが「精霊流し」、そして泉谷が「春夏秋冬」、森山良子が「今」などを熱唱。最後は出演者全員で「翼をください」と「上を向いて歩こう」を歌い上げた。