異色の経歴を持つDaiichi―TVの高山基彦アナウンサー(38)は、4月1日の入社から1か月を迎えた。しずおか報知の取材に「今までのキャリアどうこうじゃなく、一から教えていただいています」と新天地での心境を語った。

 高山アナには多くの“キーワード”が付く。東京電機大では工学部。在学中、芸能事務所に所属し、ウルトラマンシリーズのテレビ番組に出演した経験もある。理系学生が選んだ進路は「幼い頃からテレビが好きでした。その世界で生きられないかと思いました」。大学4年になると、アナウンス学校に通い始めた。

 だが、ハードルは高く、どこの放送局にも内定をもらえず。大手製薬メーカーで営業職を務めていた。3年あまり過ぎた夜、ふと見たテレビにアナウンス学校で同期の姿があった。「人生が終わりに近づいた時に『ああ楽しかった』と誇れるかを考えると、どうしても自分の思いにウソはつけなかった」。営業職をやりながら、アナウンス学校に再入学。その後、受験環境を整えるために転職もした。再挑戦してから約3年、その間に結婚した妻を説得しながら、29歳になる直前に青森テレビに入社した。

 青森ではニュース番組のキャスターも務めていた。「10年目になり、ある程度の居場所も確立できていましたが、そのままだと惰性で行ってしまうかも」と決断。経験者を募集していた静岡にやってきた。入社翌日、不適切発言をきっかけに川勝平太知事が辞職を表明。県関連の政治家にもトラブルが続く。「局の方から『高山が何か持ってきたんじゃないか』と言われました…」と苦笑したが、キャスターを務める「every.しずおか」を始め、様々な現場にも足を運び、ニュース、スポーツなどを伝えていく。(武田 泰淳)