パリ五輪に出場するハンドボール男子日本代表が10日、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで強化合宿を公開した。4月に就任したカルロス・オルテガ監督もこの日来日し、チームに初合流。「非常に責任を感じている。五輪で代表チームを率いるというのは大きな挑戦。最善の力を出せるように集中してやっていく」と表情を引き締めた。

 前監督のダグル・シグルドソン氏が2月に他国の監督就任を希望し、突然の辞意を表明した。その後任としてオファーを受け「選手として(スペン代表で2000年シドニー大会銅メダル)五輪を経験しているが、監督として五輪に出ることは非常に名誉。五輪で勝つということを実現させたい」と決断した。スペインリーグの強豪・バルセロナを率いており、現在も欧州CLを戦っているが、今回は多忙な合間を縫って来日。滞在は2日間と限られるが、選手やスタッフとコミュニケーションを図ることを狙いとした。

 2016、17年に男子日本代表を率いた経験もある。ただ、五輪まで4か月を切ってからの監督就任。「時間は全くない」と危機感を浮かべ、これまでのチームをベースに微調整を加えていく考え。「多くのことを導入するもりはない。大きな手術ではなく、ピンセットで少しずつ骨を抜くとか入れるという仕事になる。選手のやりやすいプレーを尊重しつつ、ピンセットで少しずつ変えていくやり方になる」と方向性を示した。

 パリ五輪本番ではシグルドソン前監督が率いるクロアチアと、7月27日の1次リーグ初戦で当たることが決まった。因縁の対決と注目されることにも「こういったことはスポーツ界でよく起こること。前任監督とも私は別に何かあるわけではないので、全くフラットに戦いたい。クロアチアだからと特別なことは考えてないし、最善を尽くすだけ」と冷静だった。