札幌市中央区の東1丁目劇場施設(旧北海道四季劇場)で春から秋にかけ、北海道新聞社など主催の三つの展覧会がある。人気漫画の世界をたどる「『鬼滅の刃』吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)原画展」(開催中。6月23日まで)と、ポップな絵柄が印象深い「原田治展『かわいい』の発見」(7月6日〜8月25日)、人気アーティストを衣装から紹介する「Perfume COSTUME MUSEUM(パフューム コスチューム ミュージアム)」(9月7日〜10月27日)だ。それぞれの魅力や概要を紹介する。



■「鬼滅の刃」吾峠呼世晴原画展 6月23日まで



 2016年から20年まで「週刊少年ジャンプ」に連載され、テレビや劇場でのアニメ版も国内外で人気を得た大ヒット漫画「鬼滅の刃」。「『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展」は、その全205話にわたる物語を386点に上る原画などでたどる。







 物語は大正時代が舞台。人を食う鬼に家族を殺された少年・竈門(かまど)炭治郎があだ討ちを志し、鬼を討つ「鬼殺隊」で修練を積む。同時に、鬼になってしまった妹の禰豆子(ねずこ)を人間に戻そうと奮闘する中、激しい戦いに身を投じる。技を繰り出す際のフレーズの一つ「全集中 水の呼吸」は、作品人気と共に子どもたちの〝ごっこ遊び〟でも広がった。



 我妻(あがつま)善逸や嘴平(はしびら)伊之助ら仲間の隊士、煉獄(れんごく)杏寿郎ら「柱」と呼ばれる鬼殺隊の精鋭や、鬼舞辻(きぶつじ)無惨(むざん)を頂点とする禍々(まがまが)しい鬼たちなど、キャラクターの多彩さも魅力だ。







 展示はこうした作品世界を余すところなく紹介。物語に沿って7章で構成し、漫画のコマや印象的なせりふのパネルなどを交えて再現している。作者による解説や、描き下ろしの初公開イラストを含め見どころが多い。グッズは100点を超え、札幌会場のみ販売するポストカードやノートもある。21年の東京を皮切りに全国各地を巡回しており、7カ所目となる札幌が最終会場。戦いの軌跡を見届ける貴重な機会だ。



 6月23日までで、5〜6月の火曜は休館。チケットは一般2千円、中高生1500円、小学生千円、グッズ付き3600円。







■原田治展「かわいい」の発見(7月6日〜8月25日)



 シンプルな描線、明るい色調で見るものを楽しませ、本の装丁や広告、文具など幅広い分野で活躍したイラストレーター、原田治(1946〜2016年)の仕事を振り返る「原田治展『かわいい』の発見」。2019年から全国各地を巡回し、札幌でも20年4月に1度開かれた。だが、新型コロナウイルス拡大期で会期は半月ほど。今回は道内再上陸となる。







 原田は1970年代後半から90年代にかけ、文具の「OSAMU GOODS」シリーズで女子中高生を中心に人気を博した。50年代の古き良き米国の味わいを取り入れたポップな絵柄は、多くの人の記憶にあるだろう。図柄はミスタードーナツをはじめ広告やさまざまなグッズ類に使われた。



 東京で生まれ、多摩美大デザイン科を卒業後の70年、雑誌「an・an」でイラストレーターとしてデビューを飾った。多彩な仕事歴の中では、雑誌のイラストや本の表紙も豊富。岩見沢出身の作家、氷室冴子の「クララ白書」シリーズ(集英社文庫)や、意外なところでは浅田彰のベストセラー「逃走論 スキゾ・キッズの冒険」(筑摩書房)の装丁も手掛けた。







 会場ではこれらの作品を含め、幼少期からデビュー当時にかけての資料など約400点を展示する。グッズも販売する予定。



 会期中の月曜は休館。月曜が休日の場合は開館し、翌日休館。チケットは一般1500円(前売り1300円)、中高生千円(同800円)、小学生以下無料。前売り券は販売中。







■Perfume COSTUME MUSEUM(9月7日〜10月27日)



 音楽ユニット「Perfume」はあ〜ちゃん、かしゆか、のっちの3人で構成。2000年に結成され、05年にメジャーデビューを果たした。CMに使われた楽曲「ポリリズム」で知名度を上げ、08年にはNHK紅白歌合戦に出場。確かなダンス技術やリズミカルな楽曲、光や映像を駆使したステージ演出などから幅広い世代に人気がある。







 「Perfume COSTUME MUSEUM」は衣装の解説書「Perfume COSUTUME BOOK 2005-2020」(文化出版局、2020年)を基に、厳選した約180着を並べる。兵庫県立美術館で昨秋行われた衣装展の巡回で、活動を時系列に第1章「近未来型の挑戦者」、第2章「止まらない進化」、第3章「『未来』を超えて」に分けて紹介。加えて第4章「ステージに立つの」では3人がこのために選んだ「お気に入り」などを知ることができる。また、デザイン画や型紙などの制作資料も並べる予定だ。







 幾何学模様や細かいひだのあるスカート、左右非対称のワンピース…。いずれも統一感がありながら3人の個性に合わせて微妙に違うデザインが目を引く。サッポロビールのCM出演時の衣装は札幌限定で公開。「森の妖精」をイメージしたもので、花と葉を描いた柄が美しい。



 会期中は月曜休館。月曜が休日の場合は開館し、翌日休館。チケットは一般1800円(前売り1600円)、中高生千円(同800円)、小学生以下無料。前売り券は6月中旬発売予定。











 東1丁目劇場施設は、札幌市中央区大通東1(旧北海道四季劇場)。3展覧会とも主催は北海道新聞社のほか、北海道文化放送、札幌テレビ放送、道新文化事業社。「『鬼滅の刃』吾峠呼世晴原画展」の問い合わせは同展事務局、電話011・214・5485(休館日を除く開館時間内)へ。「原田治展『かわいい』の発見」と「Perfume COSTUME MUSEUM」の問い合わせは北海道新聞事業センター、電話011・210・5731(土日祝除く午前9時半から午後5時半まで)へ。