●昨年に続き亀裂、稽古できる喜び感じ

 珠洲市の飯田高相撲部が、19日に金沢市の石川県卯辰山相撲場で開催される第108回高校相撲金沢大会(北國新聞社など主催)に今年も出場する。昨年5月の奥能登地震でひび割れた土俵は、元日の激しい揺れで再びでこぼこになった。それでも部員は「地元に元気を届けたい」と気合十分で、被害を免れた面の半分を使ってぶつかり稽古に励む。

 「いくぞ」「もういっちょ」。今月7日、飯田高が練習拠点とする珠洲市緑丘中の室内相撲場。半分しか使えない狭い土俵の上で、部員3人が四股やすり足をこなしていた。本番まで2週間、深見宣夫監督が見守る中で、場内には緊張感が漂った。

 緑丘中の土俵は、昨年5月5日に発生した最大震度6強の地震で、中央が大きく割れるなどの被害が出た。その後、修繕して元通りになったものの、1月の能登半島地震で複数の亀裂が入った。

 しかし、部員は卯辰の土俵を目指し、4月に部活動を再開。週4日、緑丘中で中学生とともに汗を流す。「相撲が好きなんで、練習できない方がつらかったです」。こう話すのは船橋竜乃祐選手(3年)と波佐谷兼諒選手(2年)。2人はいずれも地震で自宅が全壊したが、つらさは口にせず、稽古できる喜びを語った。

 半年余りの期間に、2度の大地震に見舞われたが、選手の士気は高い。高木幹太主将(3年)は「先輩から受け継いできた伝統を守りたかった。今年こそは決勝トーナメントに進む」ときっぱり。深見監督は「気持ちで負けず、全力でぶつかる相撲を見せる」と誓った。