北海道新幹線の札幌延伸について、建設主体の鉄道・運輸機構などが2030年度末までの開業を断念し31年度以降に延期する方針で調整していることがわかりました。

富永誌衣那記者)

「新幹線の札幌延伸に向けた工事が着々と進んでいます。高架橋の柱も徐々に完成し始めています」。

関係者によりますと、建設主体の鉄道・運輸機構は2030年度末としていた開業時期を31年度以降に先送りする方向で、国土交通省などと調整しているということです。

新幹線の札幌延伸を巡っては、当初2035年度末の開業を予定していましたが、2015年に政府与党が5年前倒すことを決めています。

青森から観光客)

「青森に住んでいるんですけど、開通が遅れるとその分発展が遅くなることがあると思う」。

札幌市民)

「もともと(新幹線が)ここまで来てもそんなに乗る人がいるのか。あまり関心がないというと何だけど」。

延期となる大きな理由としては、倶知安町とニセコ町を結ぶ羊蹄トンネルの工事が巨大な岩の影響で一時中断するなど工事が難航していることや、深刻化する人手不足の影響などとみられています。

タまた、新幹線の延伸に合わせ、エスタの跡地などに建設される札幌駅南側の再開発ビルについても、資材価格の高騰などから着工が遅れていて、JR北海道は新幹線の開業までには完成させたいとしています。新幹線開業の先送りは、札幌市中心部の再開発に向けた機運に水を差しかねません。

北海道大学大学院・平本健太教授)

「これが何年も何年も遅れるということになるとその分のどうしても経済効果という点ではインパクトが薄れていくということがいえる。2030年度に向けて札幌市の再開発も進んできましたし、あとは周辺の自治体、沿線自治体の2030年度末ということをゴールにしていろいろ計画を立てていたという意味で影響は大きい」。