道路脇に立つ「動物飛び出し注意」の標識。車の中から何気なく見かける動物の標識ですが、北海道には知られざる珍しいデザインがたくさんあるんです。

自然豊かな北海道…道路を渡るのは人や車だけではありません。時折さまざまな動物たちが道路上に姿を現します。そんな動物たちとの事故を防ぐため、注意を呼び掛ける「動物標識」。ヒグマやエゾシカ。実は同じ動物でもデザインが違ったり、地域限定の珍しい標識があるんです。

【エゾシカ】

こちらは北海道ではおなじみ「シカ飛び出し注意」です。国交省が定める標準のシカのシルエットで、全国一律、シカと言えばこのデザインです。生息数の多い釧路市では、市街地を離れると多くのシカの標識を目にしますが、全国でもここだけという珍しい標識がありました。

記者「あの標識…後ろにもう一頭いますね」

北見方面に向かう国道240号沿いで見つけたこの標識。一見、普通のシカの標識と思いきや、後ろにもう一頭続いています。「シカは列になって出てくるぞ」という注意喚起です。

さらに同じ道を走っていくと・・・

記者「あそこの標識、シカ4頭もいますね!」

さらに倍に増えました。もうここは「群れをなして渡るぞ」という意図が標識から伝わってきます。

■北海道開発局弟子屈道路事務所 稲葉和寿所長「道路に飛び出すシカも、一頭の場合もあるが、群れで飛び出してくる。一頭いなくなって逃げていったあとから3頭4頭と連らなって出てきて事故になるケースもある」

北海道開発局の調べによると、国道240号は道内でも特にシカと車両の衝突事故が多く、過去5年で300件以上の事故が起きています。実際に出没情報が多い明け方に走ってみました。

記者「シカがいま走って目の前を渡っていきます、危ないです」「シカが群れでいますね。車が来てもあまり逃げようとしません、いま逃げました」

この地域のシカの状況には特に注意が必要だとして、およそ5年前、240号限定のシカ標識が立てられました。こうした動物のデザインは、国や道など、道路管理者が自由に決めることができます。

■稲葉所長「一番はドライバーの方にいかに注意を促すかがポイント。見た瞬間に注意していただけるようにと考えている。

【ウシ】

道路を渡るのは野生動物とは限りません。こちらは「牛横断注意」の標識です。道内には広い敷地内を一般道が通る牧場があちこちにあります。牛舎と牧草地をウシが行き来するときにはこんな光景も。ウシの標識を見かけたら飛び出しに要注意です。

【タンチョウ】

釧路市やその隣の鶴居村には絶滅危惧種のタンチョウが多く生息しています。そしてシカが多いエリアでもあります。となると・・・。

記者「あそこの標識はタンチョウとシカがいっしょになってますね」

釧路市山花では、シカとタンチョウのコラボレーション。標識が示す通り近くの住民は運転に一苦労です。

■住民(Q運転危ないというときもある?)「シカはしょっちゅうです」「ツルも隣の家の上の裏のところによく来る」「いきなり(道路に)ツルが通ってて、おもわず携帯で撮って、車来たって全然動かない。ツル自体なれちゃって車がよけちゃって」

タンチョウとシカがコラボしたこのデザインは去年3月、道が設置しました。デザインは釧路総合振興局の職員が自らデザインしたということです。

【キツネ&タヌキ】

記者「道民に一番なじみがあるのはキツネの標識かもしれません。道内にはユニークなデザインもあるんです」

札幌から車でおよそ1時間。道央道・滝川IC近くにそれはありました。なんと目に鮮やかな2色のカラー!。そして描かれているのは「赤いキツネ」と「緑のタヌキ」。なにやら耳なじみのあるフレーズですがこのデザインにも納得の理由がありました。

■NEXCO東日本北海道支社交通技術課 曽根健司さん「動物侵入が多く見込まれる当該区間ではよりドライバーへの注意喚起を図るべく趣向的に(黒以外の)ほかの色を採用した」「目立つように信号と同じ配色として赤、緑、黄色にした」(Qあの食品を思い浮かべてしまうが、たまたま?)「はい、偶然です」

【カエル】

おしまいは函館市でのみ見ることができるカエル注意の標識です。春になると近くの函館山から産卵のためにふもとへ降りてくるというエゾヒキガエル。インパクトのあるデザインに思わず写真を撮る観光客も多くいるそうです。

記者「注意を呼び掛ける看板ですが、すでに轢かれてしまってますね…」

■住民「これくらいですかね。けっこう大きい」「けっこう轢かれて道ばたに死骸があるの見たことある」毎年、境内の池に産卵に来るという函館八幡宮では「縁起のいい動物」としても言い伝えられているそうです。

■函館八幡宮権禰宜桑原隆次さん「『福帰る』『無事帰る』というご利益がいただけるということで神様とのご縁があると思って大切にしています」

道内各地にあるさまざまな動物たちの標識。くれぐれもわき見運転にならないようご注意を。衝突すると双方の命に係わる大きな事故に繋がりかねません。人にも、そして動物にも優しい運転を心がけたいですね。