自宅のプリンターで偽の1万円札を印刷し、コンビニで使用したとして通貨偽造と同行使の罪などに問われた紀北町、会社員東和孝被告(21)の裁判員裁判初公判が22日、三重県の津地裁(西前征志裁判長)であった。東被告は起訴内容を認め、量刑が争点になる。次回は23日、被告人質問があり、結審する予定。

 検察側は冒頭陳述で「SNS(交流サイト)を通じて知らない人から偽造通貨の作り方を教えられ、1万円札の画像を検索。スマートフォンで編集してプリンターで印刷した」と述べた。

 証拠調べでは、偽造した1万円札について、コンビニの店員らが「サイズが小さい」「すかしやホログラムがない」などの違和感を抱いたと説明した。

 その上で、東被告がインターネットでコピー機の偽札防止対策などについて調べ「偽札を作ることは重大な犯罪」などと書かれたサイトを閲覧していたと指摘した。

 弁護側は起訴事実について認めた上で「争点は量刑」と述べ、偽札を受け取った被害者らとの示談が成立し、保釈された東被告が親族の経営する会社で働いていることなどを説明した。

 起訴状などによると、東被告は昨年8月、スマホで編集した1万円札のデータを元に、自宅のカラープリンターで偽の1万円札を印刷。紙幣の形に切って9枚を偽造し、津市内のコンビニで使用したなどとされる。

 通貨偽造罪の罰則は刑法で「無期または3年以上の懲役」と規定され、窃盗罪(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)や傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下)と比べて重い。今回の公判も最大で無期懲役の判決があり得るため、裁判員裁判が実施されている。