モスバーガー初の自動販売機が、東京都内でひっそりと期間限定で稼働している。

 自販機は、冷凍グルメ自販機ショップ「FROZEN24マート大森店」(東京都大田区)内に設置されている。同ショップはJR大森駅を出てすぐの場所にあり、店内には他社のギョーザやラーメンを扱う冷凍自販機も並んでいた。

 4月中旬に筆者が現地を訪れてみると、ショップのドアに「MOS BURGER FROZEN STORE」「期間限定開催中」との張り紙があった。自販機では「〈冷凍〉モスチキン」(5本入で1500円)、「モスライスバーガー 焼肉」(2個入で1100円)、「モスライスバーガー チーズ焼肉」(2個入で1200円)、「モスライスバーガー 韓国風ピリ辛ポーク」(2個入で1100円)、「モスライスバーガー(2種セット) きんぴら/豚生姜焼き」(2個入で1000円)を販売しているのが確認できた。

 モスフードサービスの広報担当者は、販売期間は2月6日〜5月9日だと説明する。また、FROZEN24の公式Webサイトによると4月1日に自販機内の商品を一部入れ替えたとのこと。

 コロナ禍の影響により、リアル店舗の集客に苦戦した大手外食チェーンは、非接触の販売方法を模索。冷凍食品を自販機で提供する動きが広がった。例えば、リンガーハットは2021年6月にとある店舗で冷凍ちゃんぽんや冷凍ギョーザのテスト販売を実施。売れ行きが好調だったため、その後各地の店舗で展開するようになった(参考記事:半信半疑で置いた「自動販売機」が好調 リンガーハットが驚いた“わざわざ”買いに来るお客の存在)。

●直販サイトと同じ商品を展開

 自販機で販売している商品は、直販サイト「モス公式オンラインショップ〜Life with MOS〜」で取り扱っているものと同じだ。広報担当者によると、自販機と直販サイトでは販売価格や組み合わせが異なるという。

 ちなみに、リアル店舗以外で冷凍のモスライスバーガーを提供し始めたのは2022年7月に直販サイトを開設してからとなる。

 直販サイトでは、「モスライスバーガー 焼肉」「モスライスバーガー きんぴら」といった国内のリアル店舗で扱ったことのあるメニューを展開してきた。2023年8月には、同サイト内に「モスライスバーガー専門店」をオープン。海外店舗で実績のある商品をアレンジした「モスライスバーガー <ガパオ>」などのメニューを投入し、商品ラインアップを拡充してきた。同社によると、自宅にいながら好きなものを食べられる食品D2C(Direct toCustomer/消費者直接取引)の新たな取り組みという位置付けだった。

 現在、リアル店舗で提供しているのは「モスライスバーガー焼肉」(490円)と「モスライスバーガー海鮮かきあげ(塩だれ)」(440円)だ(4月30日時点)。

 直販サイトで自販機と同じ商品を調べてみると、「ひと手間かけるモスライスバーガー〈焼肉〉6個入」が3000円との記載があった(送料は別途必要)。基本的に、モスライスバーガー焼肉は1個500円前後で提供するというスタンスのようだ。

 モスライスバーガーが誕生したのは1987年。「日本人の主食であるお米を使って、何か商品ができないだろうか?」と同社が考えたのが開発のきっかけだという。ごはんをパンの代わりにするため、試行錯誤の末に編み出されたのが焼きおぎにりの発想だった。ごはんにしょうゆを塗り、ライスプレートで焼いてみると、崩れにくくて香ばしい初代の商品が誕生したという(出所:公式Webサイト)。

 実験的に導入した自販機は、直販サイトに続く新しい販路として定着するだろうか。