駅で忘れ物をした経験がある人も多いと思うが、SNS上でJR岡山駅での対応が話題になっている。

きっかけは、1月25日に評論家の江崎道朗(62)氏がXにした投稿。岡山を訪れた際に駅で名刺入れを落とすも、気づかないまま帰京すると、見慣れない番号から着信が。JR岡山駅から落とし物を知らせる電話で、着払いで送ってもらうことに。すると、届いた名刺入れとともに、「お届け物特急券」と書かれたメッセージカードが封入されていたというのだ。

そのメッセージカードの写真も添えられており、鉄道会社らしく特急券を模したデザインで、行き先表示として「岡山駅→お客様」の文字があり、下部には「お客様の大事なお品、お届けしました」とも。右下にはハンコのようなデザインで、「お届け済み また、おいでよ 岡山駅」と綴られていた。

これに江崎氏は《日本は本当にいい国だ》とコメント。この投稿が話題を呼ぶと、称賛の声が多数寄せられていた。

《拾ってくれた方はもちろん、保管して連絡して嫌がらず送付してくれる企業、そして更にこんなおしゃれな特急券も同封してくれて… 付加価値とはこういう事だよねという良い例でもある》 《岡山いいところですね》 《素敵な対応ですね。ほっこりする》 《この心遣いと遊び心、粋だわぁ。名刺入れは個人情報の塊。私も著名人と名刺交換させていただくことがあったりして住所や電話番号が載っていたりするので失くしたら血の気引くわ。日本で良かったと思う瞬間ですなぁ》

こうした取り組みを始めたきっかけや背景について、岡山駅の落とし物センターを管理している「JR西日本中国交通サービス岡山支店」の担当者に話を聞いた。

担当者によると、「お届け物特急券」は、忘れ物を着払いで届けるときに封入しているもの。表面のデザインは色違いがあり、裏面にはスタッフからのメッセージも書かれているという。

このメッセージカードを発行するサービスは、’22年5月からはじまっており、きっかけはJR富山が同様のサービスを行っていたことを知った社員からの提案だったそうだ。「良い取り組みだから、岡山忘れ物センターでもやってみたい」と富山駅に承諾を得たうえで、開始している。

そして、サービス開始後の反響について担当者は語る。

「お客様からですね、お礼のお手紙を頂戴したり、お電話を頂戴することが増えました。元々、お忘れ物をお届けした時にはそういうお声を頂戴するんですけど、これを始めてからまた少し増えたというところですね」

メッセージカードは、お客さんの荷物が見つかって嬉しい気持ちと「安全に荷物がお届けできた」という社員の気持ちを共有するために、作られたものだという。

今回の反響について「メッセージカードをやってきて良かった」とした上で、「お褒めの言葉を頂戴すれば、私どもとしても大変ありがたいなとと思いますね。こういった声があれば、社員の励みになりますので、より一層業務に励んでいけたらなと」と喜びを語っていた。

細やかな気遣いの輪が、広がっている。