今年の春は葉物を中心とした野菜の高騰が目立つ。農林水産省の「価格動向調査(野菜)」の調査8品目で4月15日の週は、平年比でキャベツが約1.5倍、レタス、にんじんは約1.45倍、きゅうりは約1.25倍、トマトは約1.2倍価格、ねぎとたまねぎは約1.15倍と価格が軒並み高騰している。

「野菜の収穫は天候に大きく左右されます。今年の冬は暖冬だったため野菜の生育が早く、産地では収穫が前倒しになりました。ところが、2月下旬から急に寒くなり、今度は野菜が育たず、次の産地の収穫が遅れているため、今はその間の“空白期間”になっているようです」

こう話すのは節約アドバイザーの和田由貴さん。

農林水産省が発表している価格の見通しでは、4月に入って出荷数が平年を下回ったものが多いが、5月に入ると再び安定的な供給が見込めるようで、高騰した野菜の価格も落ち着くものと思われる。

しかし、気候変動の影響もあって、近年の作物の収穫量は予測がつきにくい。今回は落ち着く見通しが立っているが、これまでも野菜の高騰は幾度となくあり、今後もそういうタイミングはあるだろう。そういうときのための準備について和田さんが教えてくれた。

「まず、今回のように葉物野菜が高騰しているなら、価格の安定している別の野菜を中心に買うことです」(和田さん、以下同)

もやしやかいわれ大根などスプラウト系の野菜やきのこ類などは通年、比較的価格が安定している食材だ。また、市販のカット野菜や冷凍野菜も十分に活用できるという。

「冷凍野菜は旬の時期に大量に収穫したものを使用していますし、今の冷凍技術は進歩していて、野菜の食感も損なわれず、含まれる栄養価も安定していて、生鮮野菜の代用としても優秀です」

さらに、加熱調理を必要とする生野菜は、安く買えるときに、余分に買っておき、生のまま切り分けて、冷凍庫へ入れておくと便利なのだそう。

「にんじんやごぼう、ブロッコリー、小松菜、ほうれん草などは生のまま冷凍ができます。加熱調理が必要な野菜は、冷凍しても味や食感が損なわれないので、私もよく、こうした野菜が安くなっているときに冷凍保存しています。洗って切って、密封のできる袋に小分けにして冷凍しておくと、今回のような野菜の価格が高騰したときに便利です」 葉物野菜が高騰しているなか、わずかではあるが、唯一価格が平年比96%と下回っているのがばれいしょ(じゃがいも)だ。



■比較的お手ごろなじゃがいもを上手に活用しよう

農林水産省の発表によると、生産地の北海道と鹿児島での収穫が順調だったことから、全体的に出荷数量が平年を上回っており、比較的安く市場に出ている。

その価格が下がっているじゃがいもを賢く利用すべく、管理栄養士の岩﨑啓子さんにじゃがいも料理を教えてもらった。

「じゃがいもはビタミンC、整腸作用のある食物繊維、利尿作用のあるカリウムなどが含まれた食品で、加熱してもビタミンCが壊れにくいという優れた特徴があります」

食物繊維は100g中8.9g含まれていて、これは日本人女性が1日に目標とする食物繊維18gの約半分にもなるという。

高騰している葉物野菜の代わりにじゃがいもを千切りにしてゆでておひたしにしたり、にんじんの代わりに千切りしたじゃがいもでラペを作ることもできるのだそう。

「今の季節だと新じゃがをみずみずしくいただくことができます」(岩﨑さん、以下同)

じゃがいもを使ったレシピは、じゃがいものよさを引き出す調理法。

「じゃがいもだけミネストローネ」は、トマトジュースを使うのがポイント。

「トマトジュースには抗酸化作用のあるβカロテンが含まれています。トマトは今、高騰している野菜ですが、トマトジュースだと価格が安定しています。

また、じゃがいものビタミンCは水に溶けやすいのですが、スープにすることで、栄養素を損なうことなく、すべての栄養素をまるごととることができます」

「じゃがいもホイコーロー」は、キャベツをじゃがいもに置き換えて作る。

「にんにく、しょうがを一緒に使うことで、食欲増進、消化促進に働きます。また味噌や豆板?は整腸作用も促します」

ただ、じゃがいもは糖質なので、食べすぎないように注意。

「特に糖尿病の方はじゃがいもを食べた分、ごはんを少なめにするなど、糖質コントロールも心掛けてください。また、じゃがいもにはカリウムも豊富なので、カリウム制限をしている腎臓病の方は、じゃがいもを調理前に水にさらしてカリウムを抜いてから調理しましょう」

今が旬のじゃがいも料理、おいしく召し上がれ。