RBの角田裕毅は、F1オーストラリアGPの開幕を前に取材に応じ、前戦サウジアラビアGPでハースのケビン・マグヌッセンに抑え込まれ、ポイント獲得の機会を奪われたことについて発言。ルール中でハースは最大限の仕事をしたとして賞賛しつつも、ルールの改正を求めたいとも語った。また、レース中無線で冷静に対応できたが、それは非常に努力が必要なことだったと明かした。

 角田は前回のサウジアラビアGPで、20秒のタイム加算ペナルティを受けていたハースのマグヌッセンに先行されてしまった。そのマグヌッセンはペースを故意に落とし、前を行くチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグを援護。それが功を奏し、ヒュルケンベルグは実質的なポジションを落とさずにタイヤ交換を済ませ、貴重な1ポイントを持ち帰った。

 ただマグヌッセンは、コース外から角田を抜いたとして受けたペナルティを抱えながら、角田以下を抑えていた。現在のルールの上では違反ではないものの、ルール上の不備があるのではないかと話題になった。

 角田もオーストラリアGPに先立ち、この件についてFIAと話し合う必要があるとの見解を示した。

「この問題を、必ず議題に挙げるつもりです。でも、誤解しないでください。チームとしては、現在のレギュレーションの範囲内で、彼ら(ハース)はよくやったと思います。最終的にポイントを手にしたんですからね。彼らはその状況を最大限に活用したんだと思います」

 角田はそう語った。

「でも同時に、彼らがやったことは、僕たちが望んでいる形ではありません。僕らとしても、満足していません。そうでなければ、誰もがモナコのシケインをショートカットして、後続を20秒抑え、チームメイトを勝たせるということもできてしまいます。ずっとこれを続けていくことはできないと思います」

「レギュレーションには改善の余地があると思いますから、それを必ず取り上げることになると思います。僕だけではなく、他のチームも前回のレースでこのことを経験したと思いますからね」

 また角田は、レギュレーション改訂前の2021年のようにオーバーテイクが難しくなってきていることも、マグヌッセン攻略を阻止する要因になったと語った。

「オーバーテイクしにくいマシンを持っている僕にとっては、簡単なことではなかったです。それと同時に、彼(マグヌッセン)は非常にアグレッシブに、よくディフェンスしました。でもそれがレースですからね」

 そう角田は振り返る。

「そして中団グループは僅差ですし、今年に向けてダウンフォースがますます高くなってきています。その結果、トラフィックの中では、空気の乱れの影響が、2021年のマシンの時と再び似てきていると思います。それも検討する必要があるでしょうね」

 なお角田は開幕戦バーレーンGPの際、チームからチームメイトのダニエル・リカルドを先行させるよう指示を受けた際に、無線で厳しい言葉を発して苦言を呈した。しかしサウジアラビアGPでは一転、マグヌッセンを抜けずに苦労していた時でも、言葉が乱れることなく冷静な受け答えをしており、その成長が伺えた。

 角田は無線で冷静に対応することを心がけていたというが、それはとても大変だったと明かした。

「前回の対応については、とても満足していますよ。普段の僕なら、無線のボタンを押して、いつものように何か言っていたと思いますからね」

 そう角田は明かした。

「サウジの記者会見で、僕は自分自身を変えたいと言いました。今後のレースでは、僕がどう変わったのかを見ていただけると思います。その最初のステップを証明できたのは、嬉しく思います」

「それを続けていくのは、とても難しいことです。でも、それが僕の目標で、やらなければいけないことです。簡単なことじゃなかったですけどね。ヘルメットの中では、すっと我慢していました」

「無線のボタンを押さないようにするのに、こんなに大変なエネルギーが必要だなんて知りませんでした。ストレスを抑えるのは、首やGフォースに耐える以上に大変だったんです。慣れるまでには時間がかかると思いますけど、前回初めてそれを達成できたので、今後も続けていけると確信しています」