ヤマハ発動機とローラ・カーズが3月28日に記者会見を開き、フォーミュラEにおける高性能電動パワートレイン開発・供給に関する、テクニカルパートナーシップ契約を締結したことを明らかにした。

 ローラは現在、フォーミュラEに出場するチームに供給が可能な車体パッケージの開発を進めており、ヤマハはローラと協力しながら、電動パワートレインを開発・供給する予定だという。ヤマハとしてはこの活動により、世界最高レベルの出力密度・効率を含めた究極のエネルギーマネジメント技術の獲得を目指すとしている。

 会見にはフォーミュラEの共同創設者であり、チーフ・チャンピオンシップ・オフィサーでもあるアルベルト・ロンゴやシリーズCEOのジェフ・ドッズも同席。ローラとヤマハの提携を歓迎した。

 ヤマハはMotoGPで長く活躍し、かつてはF1に参戦していたこともあった。ローラとの提携が進み、パワートレインの開発が完了すれば、々に四輪の世界選手権レースに戻ってくることとなる。

 同社はバイクやカート、電動アシスト自転車などの製品を一般向けに発売しているのと同時に、法人向けにエンジンなどのコンポーネントの提供も行なっている。その中にEV用モーターがあり、2021年には350kWの出力を誇るハイパーEV用のモーターを開発したことを明らかにしている。この350kWという出力は、今のフォーミュラEマシン”GEN3”と同じ出力である。

 一方でローラは、様々なレーシングカーを開発してきた歴史を持ち、F1やインディカーなどで実績を残してきた。近年ではマツダのIMSA用マシンのシャシーがローラ製だったが、その後モータースポーツシーンからは一旦退くことになった。

 しかし2022年にマーク・プレストンがモータースポーツ・ディレクターに就任。今回のフォーミュラE参戦に繋がった格好だ。このプレストンは、スーパーアグリF1チームの立ち上げに携わり、チーフテクニカルオフィサーを務めた人物。その後、フォーミュラE創設時に参戦したアムリン・アグリの立ち上げにも関わり、その後継チームであるテチータのチーム代表も務めた。