F1のオーナーであるリバティ・メディアは、MotoGPの買収を進めており、MotoGP第3戦アメリカズGP(4月12〜14日)を前に、数日中に契約が発表される可能性があるようだ。

 motorsport.comの調べによると、MotoGP、WSBK(スーパーバイク世界選手権)、MotoE世界選手権のプロモーターであるドルナ・スポーツの幹部とリバティ・メディアは数週間前に契約を最終決定したという。

 実際、両者の意向としてはMotoGPの開幕戦カタールGPの前に正式契約を結ぶ予定だったようだ。

 しかしその時点では、競争市場を規制する欧州委員会の介入が懸念され、この動きは凍結されていた。

 27日午後、『フィナンシャル・タイムズ』紙が買収は成立したと見ていいと報じているが、同紙はEU競争法適用の責任者がこの件を分析しないのは非常に奇妙だとも指摘している。

 かつてルクセンブルクを拠点とする投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが、F1とMotoGPの両方を所有していたが、2006年に欧州の独占禁止法当局によってMotoGPを売却させられている。

 2006年にブリッジポイントという投資企業がCVCから株式を購入し、現在約40%を所有。カナダ年金基金(CPPIB)は38%を管理している。残りの22%は、ドルナCEOのカルメロ・エスペレータと、少数のマネージャーグループで分け合っている。

 2022年、ドルナ・スポーツの売上高は前年比33%増の4億7480万ユーロ(約777億円)となったが、パンデミックの影響もあって780万ユーロ(約13億円)の赤字に終わった。

 2022年初頭、マドリードに本社を置くドルナは9億7500万ユーロ(約1600億円)の負債を借り換え、流動性を強化するとともに、3億9000万ユーロ(約638億円)相当の配当を株主に行なっている。

 一方、2016年にF1の買収を完了したリバティは、F1の人気をかつてないレベルまで急上昇させることに成功。パンデミックと時を同じくして放映されたNetflixのドキュメンタリーシリーズ『Drive to Survive』の勢いは、F1の人気をグローバル化させた。

 同時にレースカレンダーの継続的な拡大(2024年は史上最多の24戦)により、利益も急増した。F1参入の成功を受け、リバティはMotoGPでもその成功を再現したいと考えているようだ。