フォーミュラE東京E-Prixの翌日、東京ビッグサイトに野尻智紀の姿があった。野尻はこの日、東京E-Prixと併催されていた「E-Tokyo Festival」のメインステージで行なわれた「UNIZONE EX Match at E-Tokyo Festival2024」に、イゴール・フラガや木村偉織らとともに出演したのだ。

 東京E-Prixをテレビで観戦したという野尻は、日本初開催となったフォーミュラEのレースをどう見たのだろうか?

「もちろん、多くの方が相当な努力をされた結果だと思いますが、日本でもこうやって公道レースができるんだなと、多くの人も思ったと思います」

 そう野尻は語る。

「簡単に出来るモノだとは思っていません。でも、今までは公道レースなんて、『そんなのできないよ』というモノだったと思います。でも今回ひとつ形になったので、良い前例になったと思います」

 公道でのレースに参加してみたいと思うか? そう尋ねると、野尻は次のように語った。

「ドライバーとしては、狭くて嫌だなという感じです」

 そう前置きした上で、次のように続けた。

「でも、やっぱり観る側としては、面白いなと思う瞬間は多々あります。なんといってもこういう街の中でやると、いつもレースを観に来てくださるのとはまた違ったお客さんに来ていただけると思います。そこを開拓していかなきゃいけないのが僕らの課題だと思いますので、そういうことをどんどんやれたらいいなと思います」

「今日のイベント(UNIZONE EX Match)もそうじゃないですか。コンサートを観ることをメインにいらっしゃった方も多かったと思いますが、そういう方々に『こういうのもあるよ』と見せられたのは、良いことだったと思います」

■シムレースは難しい!

 なお野尻は、今回も含めてUNIZONEのイベントに積極的に参加しているが、シムレースに合わせ込むのに苦労しているという。前述の通り、多くの人たちにモータースポーツを知ってもらうために野尻は参加しているわけだが、自身の腕を上げなければ、シムレースの価値を落としてしまうのではないかと考えている。

「シムでの経験値が少ないので、自宅にあるモノから少し機材が変わっただけで、なかなかアジャストできないんです」

 そう野尻は語る。

「ステアリングもアクセルも、ブレーキもです。そういう合わせ込みの部分が、まだまだ素人ですね」

「今このイベントに参加させてもらっていますが、僕が圧倒的に下手すぎる。それをどうにかしなきゃいけないと思っています。自分ももうちょっと上手く走れるよというのを見せていかないと、シムレースの価値を下げてしまうと思うんですよ」

「身体で感じられないのが難しいです。速い人たちは、モニターのちょっとした動きで滑ってるかどうかを感じるって言うんですけど、僕にはなかなかそれが感じられません。リアルのレースでは、視覚とお尻や腰のセンサーで感じている部分があるんですが、シムレースは情報量が少ないので、気付いた時にはもう滑り出していて、スピン状態……ということがあるんです」

「コツがあると思うので、それを掴めたら、実車と変わらないように走れると思います。例えば宮田(莉朋)選手とか、シムでもすごく速いじゃないですか。あそこまでなれるように、もう少し頑張りたいと思います