アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、優れたタイヤマネジメントと巧みな戦術でF1日本GPを6位でフィニッシュした。

 F1第3戦オーストラリアGPのファイナルラップのバトルでジョージ・ラッセル(メルセデス)に潜在的に危険なドライビングをしたとして、レース後にペナルティを受けて6番手から8位に降着した。

 それから2週間、アロンソは鈴鹿で再びライバルを抑え込む必要に迫られた。ハードタイヤを履いたアロンソはレース終盤に6番手を走行。しかしラッセルがミディアムタイヤで8番手から差を詰めていた。

 アロンソは、よりフレッシュなタイヤを履くラッセルの方が有利だと認識していた。そのため、7番手を走るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)をあえて近づけ、DRSを使わせることでラッセルに対する壁にするという戦術をとった。これは昨年のシンガポールGPで、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)が使った戦術と同じだ。

 このアロンソの戦術は見事に功を奏した。ラッセルとピアストリは7位を争い激しくやり合ったのだ。50/53周目の最終シケインでオーバーテイクを仕掛けたラッセルに対し、ピアストリはシケインをショートカットしながら接触を避けるシーンもあった。

 ふたりの争いは、シケインへの進入でミスをしたピアストリを最終ラップのターン1でラッセルがオーバーテイクし決着したが、アロンソはそれを尻目に逃げ切り6位フィニッシュを果たした。

 レース後、スペインDAZNのインタビューに応じたアロンソは「普通のレースだった」としながらも、「オーストラリアでのペナルティの後では、保証されていることは何もない」と笑顔で語った。

「オーストラリアの後だし、なんて言うべきなのか分からないよ。今度は残りのチャンピオンシップから失格にされるかどうか、見てみようか」

「ピアストリが後ろにいたことで、ラッセルから身を守ることができたのは確かだ。ピアストリを1秒以内に入れるために、ストレートで少し手を抜いていたかもね」

「カルロスは昨年のシンガポールでもそうしていたと思うし、レースでは当たり前のことなんだ」

 ピアストリは、アロンソが何をしようとしているのかを把握していたという。

 motorsport.comの取材に対し、ピアストリは「フェルナンドはエネルギーの使い方から、僕をそこに引き留めようとしているのが分かった」と語った。

「速いクルマが通り過ぎるのを止めるようとするのは良い戦略だと思う。そういうクルマについて行くのは難しいからね」

「ジョージに対しては厳しい場面もあったけど、最終的には僕のミスで彼に抜かれてしまったんだ」

「最後の最後でひとつポジションを落としてしまったのは残念だったけれど、今日は全体的に少し苦しかった」