F1中国GPのスプリントレースでは、フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.が4位を巡ってチームメイトバトルを繰り広げたが、ルクレールはサインツJr.のディフェンスが度を越していたと考えている。

 スプリントレース中盤以降、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)を先頭とした3番手集団が激しいバトルを繰り広げた。

 4番手のサインツJr.は3位浮上を目指してアロンソにアタック。しかし16周目のターン9で両車が接触。この2台をうまく交わしたセルジオ・ペレス(レッドブル)が3番手を確保した。

 アロンソが右フロントタイヤのパンクで後退する一方、サインツJr.は後方から迫るルクレールを懸命にディフェンスした。ターン14のヘアピンでは2台が接触しそうになるほど接近。ルクレールはサインツJr.にコース外へ押し出されそうになった。

 結局ルクレールが4位、サインツJr.が5位でレースを終えることになったものの、ルクレールはチェッカーを受けた直後に無線で怒りを露わにした。

「話をしようよ。僕たちがより激しく戦ってしまっている。彼は他の人たちより、僕と激しく戦っているんだ」

 レース後、サインツJr.のディフェンスが一線を越えたと感じたかと尋ねられたルクレールは、『Sky Sports F1』に次のように答えた。

「過去にそういうことはあったけど上手くいっているから、今週末もそうであることに何の心配もしていない。でも今日、彼は少し限界を越えた」

「僕たちが接触するのは良くないシチュエーションだ。僕はかなりタイヤをセーブしていたし、終盤はペースも良かったから、ペレスとのギャップが開いて彼をオーバーテイクできなかったのは少し残念だ」

「4位だったけど、ある時点では3位も見えていた。常に改善点はあるものだけど、午後(予選)に集中したい。ここ数戦の僕はそうじゃなかったけど、予選で良い走りをすることがゲームを変えることになるからね」

 一方サインツJr.は、ディフェンスがアグレッシブすぎると思われたのなら、進んでルクレールに謝罪すると語り、アロンソとのバトルがその一因になったと説明した。

「フェルナンドの後方で僕はターン7のアウト側ですごくいい動きをしたんだけど、彼はターン9でオール・オア・ナッシングって感じで僕に突っ込んできたんだ。それが僕たちふたりのレースを犠牲にした」

 サインツJr.はそう『Sky Sports F1』に語った。

「あの楽観的な動きでダメージを負ったし、タイヤもかなり汚れてしまった。それからは、ダメージとタイヤの汚れもあってマシンがスライドしていた」

「僕はディフェンスのために全力を尽くしていたし、スライドもしていたから、シャルルと少しそういう瞬間があったかもしれない、でももし限界を越えていたなら謝るよ」

「でも、今日はみんなハードなレースをしていたし、僕はそれをコントロールしようとベストを尽くしていたんだ」

 サインツJr.とアロンソの接触はレース後の審議対象となっており、予選の前にスチュワードによって検証された。結果としてアロンソには10秒のタイム加算と、ペナルティポイント3の罰則が科された。ただアロンソはサインツJr.との接触の後レースをリタイアしており、結果に大きな影響はない。また、アロンソのペナルティポイントは合計6と、すぐにペナルティポイント累積による悪影響を被る危険性も低い。

 アロンソはサインツJr.とのバトルについて次のように語っている。

「タフなレースだったし、いくつかのコーナーで横並びとなり、ホイール・トゥ・ホイールのバトルだった。そして結局のところ、どちらかが諦めるべきだった」

「僕は接触を避けるためにターン8でレーシングラインを諦めたが、ターン9で彼は諦めなかった。そして接触を避けられなかった」

「でもスプリントレースでは数ポイントしか争わないし、僕たちの本来のポジションは7位か8位だから得られるポイントは多くない。完走できなかったのは残念だけど、それほど多くのポイントを失ったわけではないと思う」