フェラーリのチーム代表であるフレデリック・バスールは、今季のレッドブルについて「もはや昨年のような強さはない」と考えていることを明かした。

 2023年のレッドブルは、まさに完璧なまでの強さだった。シンガポールGPを除き全勝。22戦中21戦を記録し、不倒と思われていた1988年マクラーレン・ホンダの16戦15勝というシーズン最高勝率を更新してみせた。

 今季もその強さは変わらないように見え、開幕2戦連続で1-2フィニッシュ。今年は全勝か……とも思われたが、第3戦オーストラリアGPでは信頼性の問題に見舞われ、フェラーリに勝利を譲ることになった。その後、日本、中国と連勝したが、第6戦マイアミGPで今度はマクラーレンのランド・ノリスに敗れた。つまり6戦目で早くも2敗。昨年の記録を更新する可能性が早々に潰えた。

 フェラーリのバスール代表は、現時点ではまだレッドブルがリードしているとしながらも、フェラーリとマクラーレンは、今後よりプレッシャーをかけることができるはずだと語った。

「コース特性にもよるが、シーズン最初からほぼこういう感じだと思う」

 マイアミGPのようなことは今後も起こると思うかと尋ねられたバスール代表は、motorsport.comにそう語った。

「正直に言って、レッドブルはまだリードを保っている。セーフティカーが出なければ、マックス(フェルスタッペン)は今日(マイアミGP)も勝てたかもしれない。実際、彼はポールポジションを獲得したわけだしね。つまり彼らには、まだ小さいながらもアドバンテージがあるということだ」

「でも1年前と比べると、我々が良い仕事をして、全てをまとめることができれば、勝利を狙うことができるということは明らかだ。これは、我々がレッドブルに少しプレッシャーをかけているということを意味しているし、その点で彼らは、戦略面でもう少しアグレッシブにならなければいけなくなる」

「彼らはもう昨年とは異なり、何が起きても2周目にはもう先頭に立ってしまうというような”快適”なゾーンにいるわけじゃない」

 ペース差が小さいということは、レースの戦略面に大きな影響を及ぼす。特にセルジオ・ペレスが苦労し、戦略的にフェルスタッペンをカバーできないようなレースでは、フェラーリやマクラーレンが、フェルスタッペンに対してプレッシャーをかけられるシーンも出てくるかもしれない。

「レースをマネジメントするという点では、大きな変革だと思う」

 そうバスール代表は語った。

「これは我々にとってチャンスだ。我々が小さな進歩を果たすことができれば、本当に彼らと毎レース戦える立場に立つことができるわけだからね」

 マイアミGPではマクラーレンがアップデートを投入し、これが勝利に繋がる一因となった。そしてフェラーリは次戦エミリア・ロマーニャGPで、今季初の大規模なアップデートパッケージを投入する予定。これによりバスール代表が言うように、レッドブルにプレッシャーをかけることができるようになるのか? 注目が集まる。