今季RNFを引き継ぐ形でMotoGPに参戦するトラックハウス・レーシング。ミゲル・オリベイラは2024年の最新型アプリリアRS-GPを使用してきたが、チームメイトのラウル・フェルナンデスは昨年型のマシンでシーズンをスタートしていた。

 当初フェルナンデスはヘレス・サーキットで行なわれるスペインGPで最新型マシンに乗り換えると言われてきたが、初ライドは4月29日(月)に行なわれるヘレステストまで延期されることとなった。

「今回のヘレスはラウルのホームレースとなる象徴的なレースで、ヨーロッパに戻ってくることができて嬉しく思う」

 トラックハウスのダビデ・ブリビオ代表はそう語った。

「オースティン(アメリカズGP)でふたりのライダーと共に成し遂げたここ最近の進歩の後、これからのレースでどれだけのことができるか楽しみだ。オースティンではポテンシャルをフルに発揮できなかったと思う。日曜日までにどこまでやれるか見てみよう」

「そして月曜日にテストを行ない、週末が全てスムーズに運べば、ラウルが2024年型マシンを短時間テストする最初の機会を得ることになる」

 なおアプリリアは、フェルナンデスが5月10日からル・マンで行なわれるフランスGPに最新型マシンを駆って出走するかどうかをまだ認めていない。

 フェルナンデスはヘレステストで最新型マシンをテストするが、実際にアップデートを受けるのはシャシーのみ。レギュレーションによりシーズン開幕当初と同じ仕様のエンジンを使用しなければならないのだ。

 つまりフェルナンデスは、2024年型マシンとはいえ2023年型のエンジンを搭載し続けることになる。そのためチームメイトのオリベイラや、アプリリアのファクトリーチームのアレイシ・エスパルガロやマーベリック・ビニャーレスと完全に肩を並べることはできない。

 RNFは常に1年落ちのマシンを使用していたが、その参戦枠を引き継いだトラックハウスはMotoGP参戦初年度から最新スペックのマシンを要求。その野心はアプリリア側を驚かせたが、同社のマッシモ・リボラCEOが意気投合して最新型マシンの供給拡大リクエストに応えた。

 生産上の問題と限られた時間枠のため、アプリリアがプレシーズンテストで用意できたトラックハウス用の2024年型マシンは1台のみ。オリベイラがそれを手にし、フェルナンデスは旧型を使用することとなったが、アプリリアは今年の半ばまでにフェルナンデス用の最新型マシンを供給できるとしていた。