プロトタイプカーであるメーカー主体のハイパーカークラス、市販のFIA GT3車両で争われるLM GT3クラス、この2クラスの混走により争われるFIA世界耐久選手権(WEC)が、欧州ラウンドに入り、イタリアのイモラで6時間レースとして開催される。

ハイパーカークラスにはシリーズ5連覇中のTGR(トヨタ・ガズー・レーシング、2台)、プジョー(2台)、フェラーリ(3台)、ポルシェ(5台)、キャデラック(1台)、アルピーヌ(2台)、今季より参戦のBMW(2台)、ランボルギーニ(1台)、そしてイソッタ(1台)、9メイクスの19台がエントリー。

LMGT3クラスは、アストンマーティン、BMW、フェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニ、フォード、レクサス=トヨタ、コルベット=GM、ポルシェ各2台の計18台がエントリーしている。

第2戦の舞台となるイモラは、2020年からF1エミリア・ロマーニャグランプリが開催(昨年は洪水のために中止)されている半時計回りの高速コース。古くからのファンには、F1サンマリノGPの開催地として、また1994年には、悲しい運命を辿ったアイルトン・セナとローランド・ラッツェンバーガーのことも覚えているファンも多いことだろう。例年WECが開催されているモンツァが改修中のために、今年はイモラでWECイタリアラウンドが開催となった。当然スタンドはフェラーリの赤で染まるはず。

3月の開幕戦カタール1812kmでは、BoP(性能調整)やコースレイアウトのマッチングもあり覇者のTGRが予選から苦戦。逆に思い通りのレース展開をしたのがポルシェで、表彰台独占というこれ以上はない結果を残した。今回のレース前には新たなBoPが行われ、ハイパーカー車両は全体的に軽量となった。とりわけフェラーリは他メイクス以上に軽量となり、地元での活躍に期待がかかる。もちろん、TGRにも優勝争いのチャンスが戻ってくるだろう。となると昨年のル・マン24時間のようにフェラーリとのバトルが展開されるかもしれない。

カタールで2位ゴール直前にガス欠のためにスローダウンして表彰台を逃したプジョーは、ついに今回リヤウィングを装着した9X8をデビューさせる予定で、最も注目されることだろう。またポルシェに次ぐ4位でゴールしたものの車両規定違反で失格となったキャデラックが、イモラでも上位に食い込めるかも興味深い。

LMGT3では唯一の日本車として登場したものの準備不足が露呈したアコーディスASPチームのレクサスRC Fに注目したい。この87号車にはCar Guyの木村武史がブロンズドライバーとして参加。開幕戦の巻き返しなるか?

この他、LMGT3クラスにはふたりの日本人ドライバーがエントリーしている。TFスポーツの82号車コルベットLZ06のブロンズドライバーには小泉洋史。またユナイテッド・オートスポーツの95号車マクラーレン720Sのゴールドドライバーには佐藤万璃音がエントリー。日本のチームであるD’station Racingは、日本のSUPERGTにデビューしたマルコ・ソーレンセンがフランス人2名と連続表彰台を狙う。

第2戦イモラ6時間は、4月19日19時にフリープラクティス1でスタート。20日に予選、21日に決勝が行われる。

文:皆越 和也