シリーズ読者投稿〜あの時、あなたに出会えなければ〜 投稿者:Kさん(30代女性)

その日、Kさんは亡くなった愛猫のため、花を買いに出かけた。

しかし、工事中の道路を自転車で通り抜けようとしたところ、転倒してしまって......。

工事中で道幅が狭く...(画像はイメージ)

<Kさんの体験談>

今から4年ほど前のことです。

17年間寄り添ってくれた猫が病気で亡くなりました。亡くなる数ヶ月前からは介護が必要な状態で私は疲れきっていましたが、最後まで必死に生きてくれたあの子に、もう何もしてやれる事が無くなったんだと思うと、心にポッカリと穴が空いたようでした。

せめて火葬の前に、棺にたくさん花を入れてあげようと思い、私は上の空で花を買いに行きました。

体が痛くて起き上がれない...

帰り道、道路の補修工事のため重機を積んだトラックで道幅が狭くなっており、誘導員さんが数名立っていました。

自転車を漕ぎながら通りやすいように荷物を持ち直そうとした瞬間、私は一瞬何がなんだかわからなくなって、勢いよく転倒しました。

「大丈夫ですか?」と人が駆け寄ってくる気配がしますが、体が痛くてすぐには起き上がれません。

黒の分厚いタイツで見えませんでしたが膝から血が出ているらしく、熱と痛みがジワっと広がっていく感覚がしました。

勢いよく転倒してしまった...(画像はイメージ)

私はもう全てがどうでもいいような気がしてしまい、小さく「すみません」と返事をして、何とか体を起こして散らばった荷物を拾っていました。

すると誘導員さんが

「何やってるんだ!」

と大きな声で言ったので、迷惑をかけたことを怒られるのではと身構えると、

「あんたねえ、こんな機械なんてどうでもいいんだよ!あんたの体が大事なんだ!」

と言われたのです。

その瞬間、亡くなった猫が浮かびました。最期の瞬間まで必死に生きてくれたのに、私は自暴自棄になり、何をやっているんだろうと思いました。

今でも自分を犠牲にして無理をしがちな時、私を心配して怒ってくれた誘導員さんの言葉を思い出します。

あの時の誘導員さん、見ず知らずの私を心配してくれて、ありがとうございました。

怒られて嬉しかったのは初めてです。


誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!

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