テレビ東京の韓流プレミアで放送中の『太宗 イ・バンウォン〜龍の国〜』はいよいよクライマックスを迎えてきた。5月17日の第31話では、チュ・サンウクが演じる李芳遠(イ・バンウォン)の後継者争いが激化する様子が描かれた。

この中でライバル対決が熾烈になっているのが、李芳遠の長男の譲寧(ヤンニョン)大君と三男の忠寧(チュンニョン)大君である。二男の孝寧(ヒョニョン)大君は後継者になるつもりはなく「高みの見物」を決め込んでいる。
1394年に生まれた譲寧大君は長男として世子になっているが、能力が疑問視されていた。勉強にもまったく身が入らず放蕩を繰り返していた。それだけに、思慮に欠ける部分が多かったのである。
一方、1397年生まれの忠寧大君は、幼いころから書物を読むことが好きだった。病気のときでも書物を手放さなかったので、父親の李芳遠があえて書物を隠してしまったという逸話が残っている。
こういう状況の中で、李芳遠はどのような決断を下すのだろうか。彼は、朝鮮王朝が儒教を国教にすることに執心した国王だ。その儒教的な倫理観では、「家督を継ぐのは長男」という原則がまかりとおっていた。それゆえ、李芳遠は長男の譲寧大君が世子になることにこだわってきた。それなのに、譲寧大君は心を入れ替えなかった。あいかわらず不勉強なままであった。

世子の座をめぐる闘いの行方

野史(民間に伝承されてきた歴史)によると、譲寧大君のほうが、自分より出来のいい忠寧大君に世子を譲るためにあえて馬鹿を装った、という記録がある。これは、韓国でよく知られているエピソードになっていた。
しかし、『太宗 イ・バンウォン〜龍の国〜』では「わざと世子の座を譲った」というエピソードを採用せず、あくまでも兄弟同士が激しく争ったというストーリーになっていた。そのほうがより劇的な展開になるのは間違いない。
果たして、最終的に世子の座をめぐる闘いはどのようになっていくだろうか。
文=康 熙奉(カン・ヒボン)