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 土曜午後に行われたブンデスリーガ第19節ヴォルフスブルク対ケルン戦では、開始15分が経とうかという頃にマックス・フィンクグレーフェが、放ったボールがトルベン・ジーヴァー線審のこめかみに当たるという不慮の事故が発生。同審判は即座にピッチに倒れ込んで意識を朦朧とさせており、そのまま支えを受けて外に出ると、あとは担架によってその場を後にした。

 これにより第4審判員を務めていたニコラス・ヴィンター審判員が線審へとスイッチしたものの、問題はいったい誰が第4審判員となるのか。そこでフォルクスワーゲン・アレナでは「お客様の中に、審判員の方はいらっしゃいますか?」との呼びかけがなされたのである。実は昨年にもブンデス3部で同様の事態が発生し、その時には代役を見出すまで30分ほどの時間を要したのだが、今回はブンデス4部MTVギフホルンのトビアス・クルールSD兼GKがかって出ている。

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 倒れている様子をみてなんとなく予感がしていたという同氏は、「幸い私は審判のライセンスを持っているから、何かあれば入ることはできる」と一緒に観客席にいた知人に語っていたものの、それはあくまで予感で深く考えてのことではなかったのだが、間も無くしてかかったアナウンスで自ら立候補。「面白いことにね、私にとっては選手時代にここに立った14年前ぶりのことなんだ」その時の仲間が奇遇にも、シンジーロルツSDである。「ただ今回もらった制服はピチピチでね(苦笑」

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 試合後ストークス主審は「非常にうまく仕事をしてくれた」と称賛。一方でクルール氏は「4部かどうかに関わらず、私としてはあくまで中立に笛を吹き、自分のベストを尽くして試合を裁くことに集中していました。仕事に就くまでの時間はたったの5分でしたし、とにかく考えるような余裕はなかったですね」は回顧。給与については問われても「それははっきりさせないとね」と笑顔が止むことはなく、「マガト監督の下で私は懸命に山を駆け上がった。結果として選手としては大成はしなかっけど、審判としてはうまくやれたようだね」と言葉を続けた。「ロッカーでさっきビールを頂いたのだけど、これからやっと落ち着いて、食事をしながらまたビールを飲もうと思う。それから今、爆発中の携帯電話に対応していかないとね!」

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 ちなみに名乗り出た人物はもう1人いたが、仮に両者とも資格が確認できなかったとしても、そのときは第4審判員不在で試合が続行したため試合中止の恐れがというわけではない。試合後、ストークス主審は「非常にうまく仕事をしてくれた」と称賛。また交代したジーヴァー氏については「彼は病院に搬送されており、容体は良いようだ」とも明かした。