富山県南砺市は、本の内容を音声で聴く「オーディオブック」を市立図書館のサービスに導入した。公立図書館での採用は県内で初めて。視覚や身体に障害のある人が図書館に出向かずに利用でき「読書バリアフリー」の推進につながるほか、家事や通勤通学中に「ながら読書」も楽しめる。図書館の担当者は「本を読むきっかけにしてほしい」と話している。

 南砺市立図書館は4月から、小中学校や地域交流センターといった最寄りの施設で本の受け取りと返却ができる巡回サービスを始めた。オーディオブックも、市民の利便性向上の一環として始めた。

 オーディオブックを手がけるオトバンク(東京)が提供する配信サービスで、対象となる本は文芸やビジネス、語学、自己啓発など約7300冊。同社によると今後も追加する予定。

 利用するには図書館のパスワード登録が必要で、パソコンやスマートフォンを使い、図書館のホームページからログインして選ぶ。同市が所蔵する約51万3千冊と比べると限られるものの、時間や場所を選ばず楽しむことができる。

 利用者は、市民と南砺市に在勤、在学する人に限定。ただ、十分に知られてないこともあり、4月の開始から5月14日時点で50人にとどまる。同月から市の広報誌にお薦めのオーディオブックを載せているほか、地域づくり協議会の行事などでPRし、利用を広めたい考えだ。

 中央図書館の保市(ほいち)のり子館長は「音声で聴いた本をきっかけに、同じ作者の本を図書館で借りてみようとか、活用が広がっていけばうれしい」と話す。オトバンクによると、全国18自治体90図書館が導入している。