陸橋から線路に飛び降りようとする男子中学生(14)を助けたとして、兵庫県警明石署は駅の清掃などを手がけるJR西日本メンテック明石営業所の武者三郎さん(65)と荒巻淳一さん(66)に、県の善行賞「のじぎく賞」を伝達した。(赤松沙和)


■武者さんと荒巻さん「すぐに体が動いた」


 同署と2人によると、2月22日正午ごろ、武者さんはJR西明石駅近くの事務所から電車の清掃作業に向かう途中、同駅周辺にある陸橋のフェンスを乗り越えようとする少年を見つけた。当初は鉄道の写真を撮る「撮り鉄」かと思ったが、カメラを持っておらず学生服だったことから「フェンスから出なさい」などと声をかけ、応援を呼ぶため事務所に駆け込んだ。

 事務所にいた荒巻さんは少年の姿を確認するとすぐさま陸橋へ向かい、フェンスの外側にいた少年に「落ちたら痛いんやで」などと呼びかけ、陸橋の端まで誘導。服をつかみ、抱えるようにフェンスの内側へ移動させて救助した。


 降りた瞬間に大声で泣き出した少年に「怖かったやろ。もう大丈夫」と救急隊が到着するまで声をかけ続けた。少年を発見した時には駅に車両が向かってくるのが見えていたため、合図を送って停止させていたという。2人は「あの時もし電車が来ていたらどうなっていたか」と振り返る。

 表彰式では植村琢也署長から表彰状を受け取った。荒巻さんは「すぐに体が動いた。助けられて良かった」。武者さんは「彼があれからどうしているのかが気がかり。いろいろあったんだと思うが、気を持ち直してくれていたらいいな」と話した。