クルマから降りるとき、ドアを隣のクルマにぶつけて傷つけてしまう「ドアパンチ」ですが、気を付けていても、風にあおられて想定外に勢いよくドアが開いてしまう場合があります。どう気を付ければいいのでしょうか。

わざとじゃないのに突然ドアが開く

 クルマを降りようとしてドアを開けたとき、隣のクルマに「ガンッ!」と当ててしまう事故、今この瞬間もどこかで起きているかもしれません。
 
 いわゆる「ドアパンチ」と呼ばれる物損行為ですが、自分はうまく開けたつもりでも、想定外に起きてしまうことがあります。それが、風に煽られてドアが突然思い切り開くという現象です。
 
 風の影響は一体どれくらいあるのでしょうか。

 ロードサービスを展開するJAFは2017年に、ユーザーテストとして強風時にドアがどんな開き方をするか、実験しています。

 ドアを開けようとして、急に風が吹き込んだ際、ドアを自分の力で止められるのか。それを、大人と子供でそれぞれ確かめました。

 実験したのは、大人は30代女性と40代男性。子供は6歳の男の子と10歳の女の子。あわせて4名です。

 風速は20m、30m、40mの3パターンで行われました。気象庁によると、風速20mを超えると、屋根瓦がはがれはじめ、人は何かに掴まらないと立てないほど。クルマは風に流される度合いが強くなり、通常速度での運転が難しくなります。40mまでいくと、樹木や電柱が倒れるといいます。

 さて、実験をはじめると、子供2人は20mの風でもドアを押さえられず、なすすべもなくドア全開になってしまいました。いっぽう大人の場合、40代男性は30mの風でギブアップ、30代女性も40mの風に対してはドアを押さえることができませんでした。

 JAFは対策として、まず「ドアレバーを引きながら少しだけドアを開け、風の強さや後方を確認する」としたうえで、「(レバーを持っていない)右手でドアを持ち、大きく開かないように押さえる」ことが大事だとしています。

 また、子供の場合、実験のとおり風に吹かれてドアが急に全開となるおそれがあります。JAFは、大人が外から開けてあげることが望ましい、としています。その場合も、子供が下りられるだけ最小限にドアを開けるべきとしています。もちろん子供が勝手に開けるのを防ぐ「チャイルドロック」をかけることもいいでしょう。

 さて、これらの強風で「ドアパンチ」が起きた場合、どんな物損が発生するのでしょうか。

 風速20m〜40mの場合で損傷具合を比較すると、20mだとただの傷レベルだったのが、40mだと明確なへこみが起きています。セダンのドアがコンパクトカーにぶつかった場合、40mの風ではドアの上から下まで達するような「陥没」状態になってしまいました。

 JAFはドアが強風にあおられた場合、「ドアパンチ」だけでなく、勢いよく全開状態になった場合、ドアのちょうつがい(ヒンジ)も壊れてしまうと注意喚起しています。