本州と九州をむすぶ新たな道路ルート「下関北九州道路」の事業化に向け、都市計画決定の手続きが本格化します。一体どのような道路で、どこまで話が進んでいるのでしょうか。

関門海峡に「第3のルート」誕生へ

 国土交通省 九州地方整備局は2024年5月10日、本州と九州をつなぐ新たな高規格道路「下関北九州道路」について、都市計画決定に必要となる計画図面を、地元自治体(下関市、北九州市)へ送付しました。
 
 実現に向け、事業化に必要な手続きがいよいよスタートしていきます。一体どのような道路で、どこまで話が進んでいるのでしょうか。

 現在、本州と九州をつなぐ道路は、関門橋および関門トンネルがその役割を担っています。

 関門橋および関門トンネルは、下関市街から門司地区の先端に渡るルートで、北九州市の中心部である小倉中心街に対し、やや迂回するルートになっています。また、海峡を渡る唯一のルートなので、交通が集中し、朝夕ラッシュを中心に渋滞が長年の課題となってきました。

 3本目の海峡道路となる「下関北九州道路」は完全な別ルートで、下関市街から西へ張り出した彦島を経由し、小倉中心街へ直結する形になります。生活交通が混在する門司〜下関の国道3号・199号を走る必要が無くなり、まさに文字どおり「最短距離」で本州〜九州の両市街地をつなぐため、よりスムーズな移動に期待がかかります。

 さて、「下関北九州道路」実現へ動きが高まったのは、2020年の概略ルート検討開始です。3案から現在の概略ルートに決定し、これをもとに「都市計画決定」「環境アセスメント」の2つの手続きが始まることとなりました。

 2つの手続きが完了すれば、いよいよ事業化を待つ段階になります。

 環境アセスメントのほうは粛々と進行中で、「方法書」「準備書」「評価書」の3段階のうち、「準備書」のプロセスが進められている状況。

 いっぽうの都市計画決定について、今回いよいよ、参考となるルート素案を含む図面が地元自治体に手渡された形です。これから決定に向けて手続きが本格化していきます。

 これらがスムーズに進めば、早ければ来年度(2025年4月)には、国による事業化決定が実現するかもしれません。地元自治体は毎年、要望書で「早期事業化」を求めています。

 1973年の関門橋以来、半世紀ぶりとなる新たな海峡道路の建設スタートが、気づけば近いところまでやって来ています。