能登半島地震で被害を受け多くの場所で断水が続いている石川県珠洲市では、歯科診療所5軒が全て休診しており、市内の臨時診療所に連日多くの被災者が訪れる。患者と接する金沢医科大の加藤崇雄さん(52)は「喜んでくれる人が多い」と話す。口の中を清潔に保つことは感染症対策につながるといい、関係者は「少ない水でも、できるだけ口腔ケアをしてほしい」と呼びかけている。

 県歯科医師会(金沢市)は2月5日、道の駅「すずなり」の駐車場で臨時の診療所を開設した。必要な装備一式を備え付けたマイクロバスに、1日15〜20人の患者が訪れる。症状は「歯が痛い」「入れ歯が壊れた」などで、3月25日までに計約380人が来院した。

 県歯科医師会によると、半月以上、歯磨きができない人や、避難所にいるため、人前で入れ歯を外せず十分な手入れができない人がいるという。臨時診療所は4月末まで開く予定。