選択的夫婦別姓の実現に取り組む民間団体が、ジェンダーの観点から婚姻届の記入例について47都道府県の計526自治体を調べたところ、「婚姻後の夫妻の氏」の欄で夫の姓を選択しているのが約9割に上っていた。団体は無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)の影響があるとみている。調査後に記入例を見直した自治体もあった。

 日本は世界で唯一、婚姻後に夫婦が同じ姓を選ぶことが義務付けられている。内閣府によると、2022年に婚姻届を出した夫婦の約95%が夫の姓を選択している。

 婚姻届にはどちらの姓を選択したかチェックを入れる欄があるが、法務省によると、記入例は各自治体の判断に任せているという。一般社団法人「あすには」は23年9月以降、役所を訪れたり、自治体のホームページを確認したりして調査。24年2月の段階で、調査は全国1747自治体の約3割にあたる526自治体(47都道府県)に達し、分析を進めていた。

 記入例で夫の氏にチェックしていたのは472件(89.7%)で、妻の氏は4件(0.8%)、両方の併記は3件(0.6%)だった。