神戸市役所にある火災報知設備の点検作業中にダクト内に転落し、脊髄損傷で下半身不随になったのは、足場がない場所の説明がなかったからだとして、京都府京田辺市の派遣社員だった男性(28)が神戸市などに約1億9千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、神戸地裁は10日、市と作業管理会社に計約1億4千万円の支払いを命じた。

 判決理由で天野智子裁判長は、市は場所によっては足場がないことを口頭で説明したのみで、場所の具体的な説明はしていなかったと指摘。点検作業を管理する業者も口頭での説明にとどまり、いずれも注意義務違反があったとした。男性を派遣した勤務先企業の責任は「転落を予見できなかった」と認めなかった。