政府が1989年1月に元号を「平成」に改めた際の過程を記した公文書に関し、今月末までの保存期限を1年間延長すると決めたことが27日、関係者への取材で分かった。「令和」改元を控えた2019年3月に5年間延長しており、延長は2回目。共同通信の情報公開請求に対し、平成の考案者など具体的な選定過程に関する文書の大半は「黒塗り」が維持された。

 公文書管理法施行令では、情報公開請求を受けた文書は開示決定の翌日から1年間の保存を義務付けている。関係者によると、不服申し立ての審査請求や訴訟に備えるためで、今月21日付の開示決定翌日から1年間の「義務的延長」が必要だと判断した。

 保存期間を過ぎた歴史的な公文書は国立公文書館などに移され、開示が適当と判断されれば公開される。ただ今回のように情報公開請求のたびに1年延長の規定が適用されれば、公開の先送りが続く恐れがある。「国民共有の知的資源」と位置付ける公文書の在り方が問われそうだ。