タケノコ選びのチェックポイントは3つ!

 出回りはじめたと思ったら、旬をすぎるとアッという間に姿を消してしまう「タケノコ」。タケノコが、やわらかく、おいしいのは限られた期間です。とにかく鮮度が命で、買ったらすぐにアク抜きをすることが大切。その“ひと手間”が面倒に感じるかもしれませんが、コツが分かれば意外とカンタン。この記事では、鮮度の良いタケノコの見分け方、アク抜きのコツ、おすすめ調理法をご紹介します。

●穂先と皮
先端の穂先がキュッと締まり、黄色いものが鮮度良好。緑色や黒っぽいものは日光に長くあたり育ちすぎた証しで、筋が固くエグみが強い傾向があります。皮の色が濃く黒っぽいタケノコもエグみが強い可能性があるので避け、皮が薄茶色のものを選ぶようにしましょう。

●根元
鮮度を見分ける2つ目のポイントは根元。切り口が白く、みずみずしいものが◎。時間が経つと水分が抜け、切り口も茶色に変色します。根元のイボイボは少なめで、赤い斑点状になっていないものがおすすめです。

●太さと重さ
ずんぐりと太く、ふくよかな見た目がおいしいサイン。手に取って選べる場合は、ずっしりと重みのあるものを。また、筆者が野菜売り場で教わったポイントとして、真っ直ぐなものよりも、少し曲がっている方が、やわらかい傾向があるそう。

できるだけ早くゆでること!

手間は意外と少ない!アク抜き(下ゆで)のポイント

 タケノコは、時間が経つほどエグみが強くなるので、買ったその日のうちに、できるだけ早くアク抜き(下ゆで)することが最大のポイント。週末の仕事帰りや休日など、時間の余裕があるときに買い求め、帰宅後“なる早”で下記3ポイントを押さえてアク抜きをしましょう。

(1)包丁で2カ所に入れる
包丁で穂先のある先端を斜めに切り落とし(少し力がいります)、皮の部分に縦方向の切り込みを入れます(切り込みは深すぎない程度に)。こうすることで、火の通りが良くなります。また、外皮は数枚程度はぎ取って構いませんが、全部むかないようにしましょう。

▲先端を斜めに切り落とし、根元まで縦に切り込みを入れます。

(2)皮つきのまま、米ぬかを加えて30〜50分程度ゆでる
大きな鍋に、タケノコを皮つきのまま入れ、かぶる程度の水を加えて、米ぬかを投入し、タケノコが浮かび上がらないよう落としぶたをして、吹きこぼれないよう気をつけながら、沸騰後30〜50分ほどゆでます。タケノコの大きさによって、ゆで時間を調整し、竹串を刺してすっと通ればOKです。

▲米ぬかはタケノコを買うとセットで付けてくれる場合が多いです。なければ、米の研ぎ汁でゆでれば大丈夫。

(3)冷めるまで放置し、皮をむけば完了!
火を止め、冷めるまで鍋に入れたまま放置します。冷めたら、包丁で切り込みを入れた部分から皮をむき、下処理完了です。すぐに料理に使わない場合は、保存容器で水につけたまま冷蔵保存しましょう(水は毎日替え、3〜4日程度で使い切ってください)。ただし、水溶性の栄養素であるカリウムやビタミンは水にさらす時間が長くなるほど減少します。

▲下ゆでしたタケノコは水につけて一時保存を。

 実は、皮付きのままゆでること、米ぬかを加えること、それぞれに科学的な理由があります。皮に含まれる還元性の亜硫酸塩が、タケノコの繊維を軟化させてやわらかくします。また、米ぬかは、エグみのもとになるホモゲンチジン酸とシュウ酸を吸着し、ぬかのデンプン粒子がタケノコの表面を覆うため、酸化も防いで色よく仕上がります。また、米ぬかと一緒に赤唐辛子(タカの爪)を1本程度加えると、辛味がエグみに対する相殺効果として働くとされています。

タケノコの部位別おすすめ料理

 下ゆで後のタケノコは「固めの下部」「やわらかい上部」「中間(真ん中)」の部位ごとに切り分けるのがおすすめ。

▲「若竹煮」のタケノコとワカメは科学的にもベストな組み合わせ。

「固めの下部」は薄切りにして炊き込みご飯、「中間(真ん中)」は半円形に切って若竹煮などの煮物に、「やわらかい上部」はくし形や薄切りにして天ぷらや和え物に使うと、同じタケノコでも全く違う料理として楽しめます。

▲タケノコの炊き込みごはん。油揚げの細切りと一緒に炊くとコクが増します。

 また、皮の内側にある、やわらかく薄い皮は「姫皮」と呼ばれ、細切りにして吸い物の実に使うとおいしいですよ。

▲下部をサイの目に切り、木の芽和えに。木の芽にゆでたほうれん草を加えてすり潰すとると彩りがキレイ。

 慣れないうちには、どこまで食べられるの?と迷いますが、口にしてみて繊維が残るかどうかで判断すると良いと思います。

▲穂先部分の天ぷら。下部や中間部のタケノコを薄切りにして天ぷらにしてもおいしいですよ。

 なお、タケノコ料理の代表格である「若竹煮」について、実はタケノコとワカメはベストパートナーであることをご存知でしょうか。

▲姫皮のお吸いもの。春が旬のスナップえんどうを彩りに添えると華やぎます。

 タケノコに含まれるシュウ酸は体内のカルシウムと結合して体外に排出されるため、カルシウム豊富なワカメとの組み合わせは理にかなっているといえます。昔ながらの日本食の知恵、とても奥深いです。

まとめ

 和食ならタケノコをフルコースで楽しめるほか、甘辛く炒めた自家製メンマや青椒肉絲、菜の花とタケノコのペペロンチーノなど、中華や洋食のメニューとも相性が良いので試してください。下ゆでの時間はかかりますが、切って、米ぬかと一緒にゆで、放置するだけで手間は意外とかかりません。茶色の鎧をまとったような厳(いか)つい見た目に「料理する自信がない」と躊躇(ちゅうちょ)していた人も、この春こそ、タケノコ料理にチャレンジしてみませんか?

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、山本悦子・小谷一子・渡辺豊子共著『クッキング-Cooking-』光生館,2015、板木利隆監修『新・野菜の便利帳 おいしい編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,

(野村ゆき)