悪気がない客が多い、余計にたちが悪い

 スーパーの店員、とりわけ来店客と直接の接点が多いレジ係にとって“困った客”“困った行動”とはどのようなものでしょうか。4年間スーパーのレジ係を務めた経験のある筆者が、同僚たちの意見も含めた「現場の声」を紹介します。悪質なクレーマーは言うまでもありませんが、そうでなくても、常識では考えられない“アンビリーバボー”な行動を取る客はいます。悪気はなさそうなケースが多いため、もしかしたら誰しも無自覚にやっているものもあるかもしれません。

1.「ちょっとならOKと思って」…なんてことはない

 他の利用客を対応中に横から話し掛けられる。こういう場面はしばしば起こります。しかしこれをされるとレジの手を止めることになるため、今まさに対応していたお客さまに迷惑が掛かります。

 話し掛けてくる側はちょっと質問したいだけで何分も時間を取るつもりでないことは店員側も理解しています。ただこれまでの経験上、事細かな説明が必要だったり、他の社員を呼んで対応しなければならなかったりする場合がほとんどです。

 例えば「しょうゆはどこにあるの?」という質問に対して「3番通路です」とひと言返すだけであっても、接客中のお客さまの商品をスキャンしながら伝えるわけにはいかず、手を止めなければいけません。

 別の作業と並行しながら接客しても気にしないという人もいるかもしれませんが、よく思わない人も当然います。実際にこれがきっかけで、お客さま同士がトラブルになったのを目撃したこともあります。

 何か不明な点、店員に直接確認したいことがある際には、接客中ではないレジ係やサービスカウンター、店内のスタッフに声を掛ける方が、結果的に対応が素早く済むケースも多いはずです。

スーパーの客のイメージ

2.「何でも店員がやってくれる」…ワケじゃない

 カートを使って買い物した後、レジにカゴを置いてくれないお客さまがいます。

 一般的には、レジに並んで自分の会計が回ってきたらカゴを自分でレジ台に置く人がほとんどですし、店側としてもそうしたフローを想定しています。しかし、スマートフォンの操作に夢中で順番が来たことに気付いていなかったり、もしくはずっとカゴをカートに乗せたまま待っていたりといった客もいるのです。

 カートをレジに寄せてくれればまだしも取りやすいのですが、レジから離れた位置にあるカートをからカゴを取り上げるときには内心ため息が出ることもあります。

 ただし、以前勤めていた店舗では妊婦中の女性やお年寄りの場合は、カゴをレジ台に持ち上げたり、会計後にカートに戻したりサービス台に運んだりといった対応を取っていました。

 とはいえこれはあくまで“サービス”であり、レジ係の側にも妊娠中や腰を痛めているスタッフはいるので、必ずできるわけではないことも知っておくべきでしょう。

3.「どうせ払うんだからいいでしょ」…は通用しない!

 レジ係をしていると、しばしば開封済みの商品を持ってくる客に遭遇します。

「子どもが開けてしまった」とすまなそうに申し出るのはマシなケース。ひどいときは「先に食べた(飲んだ)」と、堂々と開封済みの商品を渡されることもあります。驚かれるかもしれませんが、そうした客は実際少なからずいるのです。

 ペットボトル飲料を途中まで飲んでレジに持ってくる人もいれば、空のヤクルトのパックを渡されたこともあります。

「会計前であってもお客さまはカゴの中の商品を自分のものだと思うもの」と教えられていたので、会計時にも商品は丁寧に扱いますが、それでも会計前に開封するのは困ります。

 のどが渇いているならその商品だけ会計して飲むこともできますし、おなかが空いているならイートインスペースで購入品を食べた後にゆっくり買い物することもできます。

 今でも理解に苦しむ行動ですが、「最終的に代金を払うのだから会計前に開封しても問題ない」と感じているのでしょうか。

スーパーのレジのイメージ

4.「答えられて当然」…というのは思い込みです!

 お客さまにとってレジ係は、日頃からの接点が多い分話し掛けやすい存在と認識されているようです。しかし、レジ係に個別の商品の細かいスペックや特徴、在庫点数や次回入荷日などを尋ねられても、その場で正確な回答が得られる可能性は極めて低いです。

 仮に売り場の棚を見にいけば分かるような内容だったとしても、レジ係は無断でレジを離れられないので、他のスタッフを呼び出さなければ対応できないことになり、進行中だった会計業務が滞ってしまいます。

 商品について知りたいことがある場合は、売り場内の店員かサービスカウンターで聞く方がお客さまにとってもスムーズです。

 前述の内容と重複しますが、他のお客さまを接客中だとすぐに対応できないことも多いので、レジ係に話し掛ける際は接客中は避けてほしいというのがスタッフたちの本音です。

※ ※ ※

 スーパーにはさまざまな人が来店するので、思わずツッコミを入れたくなる行動もしばしば目にします。スーパーへ行ったときは、こうした行動をしていないか少しだけ気に掛けてみてください。

(かんな)