アクエリアスが熱中症対策に関する実態調査を実施

「アクエリアス」が、熱中症対策に関する実態調査を行い、その結果を発表しました。調査は、2024年3月4日(月)〜3月5日(火)の期間、全国の15〜89歳の男女1200人(男女各600人ずつ)を対象に、インターネット上で行われました。

図1:熱中症の経験

過去5年で熱中症になった人は約4人に1人

 それによると、「ここ5年間で熱中症になった経験」について、23.2%が「1〜2度、熱中症になったことがある」、3.2%が「何度も熱中症になったことがある」と答え、あわせて26.3%と約4人に1人が熱中症を経験している結果でした。

 また、年代別・性別で詳しく見ると、熱中症の経験は10代(44%)が多く、10代男性は49%とほぼ2人に1人が経験しています。若い年代の方が熱中症にもなりやすい傾向が見られました。

図2:熱中症と思うもの

熱中症の症状、「過呼吸」「筋肉痛」などは認知度低い

 熱中症の具体的な症状を聞くと、「めまい」(66.2%)、「体の異常な熱さ(高体温)」(64.1%)、「体のだるさ、力が入らない」(63.5%)、「頭痛」(63.1%)は6割以上の人が症状として認識しています。

 一方、「筋肉痛、筋肉の硬直(こむら返り)」(31.1%)や「過呼吸」(28.4%)を 熱中症の症状として認識している人は3割程度しかいませんでした。

図3:隠れ熱中症かも?熱中症症状の経験

自覚のない“隠れ熱中症”は7割に上る

 図2の症状はすべて熱中症の症状です。そこで、過去5年間にこれらの症状になった経験を聞くと、いずれかひとつでもなった人は全体の71.8%でした。

 図1の通り、熱中症の経験を自覚する人は26.3%ですが、もしかすると熱中症かもしれない“隠れ熱中症”“熱中症予備軍”の人も含めると、熱中症経験者は約7割もいる可能性があります。年代別に見ると10代が86%と高く、男性(87%)も女性(85%)も、ともに高くなっています。

2024年の熱中症対策のポイントは?

2024年の熱中症対策のポイントは?

 今回の調査の結果、熱中症対策は、近年の猛暑化の影響からか「5月」から準備を始める人が増えるなど早期化しています。
帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅康史先生が望ましい熱中症対策について、アドバイスをしています。

熱中症対策は、暑くなる前から早めの準備を

三宅先生「温暖化の影響と昨年の猛暑もあって、熱中症対策への意識は徐々に早くなってきているようです。熱中症は環境に大きく左右され、特に体が暑さに慣れていない状況での急激な環境変化で引き起こしやすくなります。4月なのに急に暑くなったり、5月に真夏日になることもあるため、まだ大丈夫と油断せず、翌日の天気や気温のチェック、自身の活動予定などを考慮して備えておくことが大切です。エアコンの設置や稼働点検、飲料や冷却グッズ、涼しい服装や帽子、日傘などの準備は早めにしておきましょう」

熱中症リスクが高まる梅雨の季節は、気温だけでなく湿度にも注意

三宅先生「熱中症は気温だけでなく、湿度が高いとリスクが高くなるので、蒸し暑い日が続く梅雨時期も注意が必要です。湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、気化熱による熱の放散が少なくなります。体内で作られた熱を外に逃がすことができなくなるため、体の中に熱がこもりやすくなり、熱中症のリスクが高まるのです。室内にいるときは、エアコンで温度・湿度を調節して涼しい環境を整えてください」

若くて元気な人も油断は禁物!集中し過ぎが熱中症リスクを高めることも

三宅先生「今回の調査では10代の熱中症経験率が高い結果となっています。熱中症は子どもやお年寄りに多いイメージがありますが、若者でも油断は禁物。ゲームや動画視聴に集中しすぎて暑さに気が付かなかったり、定期的な水分補給をしていなかったり、若者にとっても熱中症のリスクは身近にあります。最近はサウナが流行っていますが、そこでも水分補給は必須です。屋内・屋外問わず、体からは常に水分が失われていきます。意識して定期的に水分補給を心がけましょう。喉が渇いたと感じたときには、既に脱水が始まっています。そうなる前に、こまめに定期的に、例えば30分おきに水分補給をするのも良い方法です」

暑さに体を慣らす“暑熱順化”で熱中症対策を。寒暖に合わせて行うことを忘れずに!

三宅先生「特に注意すべきは梅雨明け直後で、この時期は体が十分に暑さに慣れていないため熱中症発生リスクが高くなり、救命救急センターへの搬送者が一気に増えます。梅雨明け時期をチェックして、徐々に体を暑さに慣らす“暑熱順化”を早めに行うことで、熱中症リスクを軽減することができます。暑熱順化は人によって適切なやり方や必要な期間も2〜3週間程度と異なるので、ご自身にあった暑熱順化の方法を確認してみてください。

ひとつ気をつけていただきたいのは、徐々に体を慣らしていくことは大事ですが、気候の急な変動による寒暖の差も大きいため、毎日、暑熱順化の行動を行うことが正しいとも言い切れません。日々の寒暖にあわせて、状況を判断しながら行うことを心がけてください」

三宅康史先生(帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長)

1985年東京医科歯科大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院救急部、昭和大学病院救命救急センター、さいたま赤十字病院救命救急センター長、帝京大学医学部附属病院救命救急センター長を経て、2017年より帝京大学医学部附属病院 高度救命救急センター長。救急医学、集中治療医学、外傷学、災害医学、医学教育等が専門。資格として、日本救急医学学会専門医、指導医、日本集中治療医学会専門医ほか。

(LASISA編集部)