新しい組織や部署で、チームマネジメントに頭を悩ませている人も多いのでは? 規模を問わず、チームを率いる人の悩みはつきません。

「いいチームとは」を考えるとき、選択肢の1つとなるのが「誰もが主役の組織づくり」です。

今回ご紹介するのは、タカマツハウスという住宅メーカーで行なわれた「落ちこぼれをつくらないチームマネジメント」の極意。タカマツハウスは2019年に創業し、わずか3年で191億円という驚異の売り上げを叩き出しています。

積水ハウスで伝説と呼ばれる業績を上げ、現在はタカマツハウスの代表取締役・藤原元彦さんの「湧き上がる組織づくり」とは?

そのマネジメント術をまとめた『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』(ぱる出版)を紐解きます。

社員が幸せでなければ、お客様に幸せは提供できない

本書の著書は同じく住宅メーカー出身で、タカマツハウスには立ち上げから参画し、現在は同社取締役・専務執行役員の金田健也さん。

私は前職では落ちこぼれる社員に寄り添うことができず、疲弊する社員とともに自分も疲弊し落ちこぼれていく感覚を味わいました。

私の方針や指導はいつも正論で、メンバーに反論の余地すら与えませんでした。(中略)焦る気持ちから結果のみを追求する殺伐とした組織を作り上げてしまいました。

(『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』あとがき)

そんな金田さんが、藤原さんのマネジメントをひと言で言い表すと「組織と社員の意識改革」。

住まいという、お客様にとって一生に一番大きな買い物を提供し、たくさんの幸せを提供するはずの住宅メーカーの社員が不幸であってはならない。藤原さんは「不幸な社員を作らない」と言って、徹底的に社員と向き合ったのだそうです。

藤原流「湧き上がる組織づくり」「落ちこぼれをつくらないチームマネジメント」とはどのようなものか、具体例を挙げてみましょう。

「落ちこぼれ」をつくらない3つのヒント

本書は5章にわたって、藤原さんのマネジメント術を実践するヒントが紹介されています。ここでは3つを選んでみました。

1. 拍手の効果は絶大

タカマツハウスが組織づくりに取り入れているのは「応援のパワー」。そのため、朝礼で練習するのは「拍手」。はじめは小さな拍手でも、リーダーが「もっと大きく」と声をかけるごとに部屋が割れんばかりの拍手に包まれていくのだとか。

拍手でみんなが1つになって気持ちが鼓舞されることはもちろんですが、拍手にはもう1つの狙いがあります。それは「知っていること、誰でもできることを、ちゃんとやる」ということ。

たとえば、健康のために歩くことはいいことは知っていて、やりたいなと思っているのにずいぶん行動に移していない…というケース、少なくないですよね。

ビジネスにおいても、同じことが言えます。ビジネスにおいて必要なことは、みな知っているし、できることばかりなのに、やっているのは、ほんの一握りの人だといいます。成功はその違いだというのです。

(『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』31ページ)

2. 手を放しても、目を離さない

藤原さんは、メンバーへの仕事の任せ方を「任せて、任さず」と表現しているそうです。

任せるときの注意点、1つ目は「任せきりになってしまうこと」。

リーダーの仕事は業務分担ではありません。本書では「リーダーはメンバーに対して、その仕事に意味を与え、動機づけし、メンバーが全力で仕事に取り組めるマインドセットをしなければならない」と説いています。

また、「自分でやったほうが手っ取り早い」というのもNG。一人で大きな成果を求めるのではなく、チームで大きな成果を求める思考を持つことが大事なのだとか。

3. 厳しさ10倍、愛情100倍

ここでいう「厳しさ」とは、できるのにやらなかった社員に向ける愛のある厳しさ。本書では「プロセスに寄り添うこと」を厳しさとしています。

たとえば小さなゴールでも、達成できなかった場合は、その理由をメンバーの立場になって、親身に考えること。

プロセスを考え抜けば、メンバーが苦手としていることや商談相手に認めてもらえていないことなどが浮き彫りになります。現実を直視し、逃げたくなる心境を抑えて、自分の成長のために妥協なく仕事のプロセスに向き合わせることが「厳しさ」なのです。

(『全員を稼ぐ社員にする、最強チームの作り方』69ページ)

たった3名の社員で創業したタカマツハウスも、現在は100名を超える人員が在籍するまでに。本書には起業から4年目で191億円の売り上げを達成するまでの道のりや、社員のモチベーションを上げて維持するワークショップなどが紹介されています。

業種やチームの規模にもよって手法は異なるのは当然ですが、藤原さんが実践する「湧き上がる組織づくり」のノウハウを知り、自分で咀嚼し、チームマネジメントやチームビルディングに生かすことは意味のあることではないでしょうか。

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Source: ぱる出版