世界的なトレンドとなり、今注目のインテリアスタイル「Japandi(ジャパンディ)」をご存じですか? 日本(Japanese)と北欧(Scandinavian)の要素をミックスしたインテリアスタイルですが、「どんなアイテムを選べばいい?」「取り入れるならどうしたらいい?」という疑問を、インテリアスタイリストの大谷優依さんに聞きました。
アドバイスをいただいた
インテリアスタイリスト・大谷優依さん profile
エディトリアルデザイナーを経て、2012年独立。雑誌、企業ブランドのカタログ、広告のスタイリングのほか、空間演出も手がける。
Instagram:@otaniyui
海外インテリアでもトレンド
「ジャパンディ」スタイルとは?
ジャパンディは、日本(Japanese)と北欧(Scandinavian)の要素、デザインをミックスしたインテリアスタイルのこと。
「数年前から海外で流行り始め、今ではインテリアシーンのひとつのトレンドとなりました。これから日本でも注目されそうです」(大谷さん)。
日本が持つ〝侘び・寂び〞と、北欧が持つ“Hygge”(居心地がいい空間)という、それぞれの空間、インテリアへのセンスが融合され、洗練されたなかにも温かみがあるスタイルのことだそう。
「ジャパンディはあくまで海外から見た日本であって、私たちが慣れ親しんでいる和とは、また違うニュアンスがあるんです」
インテリアプロダクトの選び方、スタイリングの仕方など、その絶妙なさじ加減の取り入れ方とは?
ジャパンディの特徴❶
やわらかい光が灯る「和紙の照明」
やさしい光を放つ照明は、心地よさを生み出す大切なアイテム。
選ぶポイントは「伝統的な和紙を使いながら、現代の暮らしに調和するものを」。
このテーブルスタンドは岐阜提灯の職人による技を使いながらも、台座には大理石というモダンなデザイン。
ジャパンデの特徴❷
心地よくなじむ「自然素材」
「FDBモブラーはデンマーク家具の基盤となった老舗ブランド。この椅子は座る部分がペーパーコードで作られていて紙の温かみを感じます。自然の素材を活かしたデザインは日本人にもなじみがあります」。日本の伝統工芸である段通で、アクセントを。
ジャパンディの特徴❸
日本の伝統色のような「シックなカラーリング」
「日本の伝統色といわれるようなシックながら明るい色を使うと、ジャパンディスタイルに近づきます」。
カリン・カーランダーのクロスは日本にインスパイアされた織りと数色の糸が織り重なった深みのある色が美しい。
ジャパンディの特徴❹
「伝統技術」と「モダンデザイン」
フィンランドを代表する世界的なデザイナーとコラボした南部鉄器の鉄瓶。
「日本の鉄瓶は海外インテリアや映画でも取り入れられるかっこいいアイテム。直線的なモダンなデザインになったことで、ケトル、ポットとしてテーブルの上でも日常的に使いたくなります」
ジャパンディの特徴❺
くつろぎをくれる「床座」
日本人になじみがある床座。
「和室って落ち着きますよね。目線が下がると空間が広く見えリラックスできる作用があると思います」。
北欧の明るいテキスタイルやガラスの天板で軽やかさを加え、モダンに。和紙の照明のやわらかい光も落ちつく空間になるポイント。
ジャパンディの特徴❻
手仕事の温かみと美しさを感じる「焼き物」
リサ・ラーソンが作るオブジェのような、温かみのある色、質感の焼き物を食卓に。
「このヴィンテージのようなキャニスターは、アクタスの今春の新作。 1960年代から欧米への輸出を始めた窯元のものです。日本の焼き物の技術は北欧からも一目置かれていて、ジャパンディスタイルの大きなポイントになっています」
スウェーデンを代表するデザイナー、インゲヤード・ローマンも、日本の焼き物の技術を信頼するひとり。
「紺と白のポット、カップ、プレートは有田焼とのコラボ。プレートがカップの蓋にもなり、重ねられ、さまざまな使い方ができます。この機能性と美しさ、日本と北欧の両方のよさを持つアイテム」。
動物モチーフのオブジェ、深皿は作家・石原亮太さんの作品。「北欧ヴィンテージにも共通するような、やさしくておおらかな絵付けが魅力です」
ジャパンディスタイルにおすすめ!
北欧×日本のコラボプロダクト
「フリッツ・ハンセン」のイケル ハイベース
150年以上の歴史を持つ、デンマークの家具ブランド「フリッツ・ハンセン」。このイケルベースと名づけられた花器は、「生け花」からインスピレーションを得たデザイン。「1輪ずつ花を挿す、という行為に海外から見た日本の美を感じます。ガラストレーと金属製の筒という組み合わせも洗練されたデザインです」
「カール・ハンセン&サン」のCH24 泥染め
CH24(Yチェア)の名で知られるデンマークの老舗ブランド「カール・ハンセン&サン」の名作チェアが、日本の木工集団「TIMBER CREW」、「ACTUS」の3社のコラボで新しい装いに。「奄美地方伝統染色技法〈泥染め〉を施し、フレーム部分は和を意識した炭色に。ひとつひとつ手作業なので、1脚ずつ風合いが違います」。4月末頃300脚限定で販売予定。
「クリッパン」のブランケット
スウェーデンのテキスタイルブランド「クリッパン」。北欧の厳しい寒さを手触りのよさ、暖かさで凌いでくれ、145年の歴史あるブランドです。2013年からミナペルホネンとコラボをスタート。ウサギや鳥が森で遊ぶ様子がブランケットに描かれ、見た目にもやさしく、飾っても楽しいブランケットに。
「2016/」の器
2016年に焼き物の産地として400年を迎えた有田焼。その記念すべき年に生まれたブランドが「2016/」。「積極的に海外デザイナーとのコラボを展開し、魅力的なアイテムが多くあります」。こちらは、スウェーデンのデザインチームTAFとのコラボ。ミルクがこぼれたようなプレートなど誰もが楽しめるようなデザイン。
Styling:Yui Otani Photograph:Akira Yamaguchi Text:Tomoko Yanagisawa web edit:Riho Abe
リンネル2024年3月号より
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