福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介からなるアイドルグループ・ふぉ〜ゆ〜。20年以上のキャリアを持ち、頭の天辺から足の爪先まで美学を追求したステージングはまさに王道のアイドル。ところが一転、口を開くと4人とも「気のいい兄ちゃん」。等身大のトークで笑いを連発し、一気にそばまで駆け寄って隣で一緒に笑っているような温度を感じさせる、唯一無二の存在だ。

2月24・25日に上演される最新出演作『舞台『隅田川ヤングロード物語2〜嗚呼!青春はマサラの香り!〜』について、また、2023年末にスタートした公式YouTube『ふぉ〜ゆ〜ちゅ〜ぶ』や大阪愛など、たっぷりと語ってもらった。

■ 「あなたの人生の尺を僕たちに」(辰巳)

──2018年から続く、ふぉ〜ゆ〜×小林顕作さんのカンパニー、通称「劇団尺伸ばし」。こちらは、いつのまにか上演時間が伸びていることから、そう呼んでいるそうですね。

辰巳「僕らは『劇団尺伸ばしをしよう!』とか、そういうことではなく・・・』

──自然とそうなって。

辰巳「はい。本番で台本にないことをやりすぎて、人から『尺(時間)が伸びてるよ』って言われて、それで『僕たちは劇団尺伸ばし』なんだろうなって。あと、すごく笑うとナチュラルキラー細胞とかもいっぱい出て、気がついたら寿命が伸びると思うんですよ。だから、『あなたの人生の尺を僕たちにいただければ、あなたの人生の尺も伸びますよ』と言っています」

──それはありがたいですね(笑)。カンパニーの雰囲気はどんな感じなんですか?

福田「中学や高校の休み時間、みたいな感じですね。みんなでゲラゲラ笑っていて、でも何で笑ったか内容は絶対覚えていないという・・・あれです! 公演の特徴としては、歌あり、踊りありで。ミュージカルとはちょっと違うのですが、劇団尺伸ばしらしい音楽劇という感じです。今回もそういうシーンがしっかりとあります。ただ、『劇団尺伸ばし』と言っていますけど、稽古時間はめっちゃ短いんですよ。だいたい13時から17時ぐらいで終わります」

辰巳「健康的で、合理的なスケジュールです」

越岡「この間の稽古も1日で台本30ページぐらい進んで。初参加の(ゴールデンボンバー)喜屋武さんも戸惑ってましたね。こんな感じで進むの? 大丈夫なの? マジで? 本当に大丈夫なの?って、ずっと心配してました(笑)」

福田「でも稽古が終わる頃には全然、普通に染んでいたよね」

松崎「芝居の稽古をやった後に歌稽古の時間があったのですが、喜屋武さんのソロパートもあって。僕は喜屋武さんの歌声を聞いた時に『はっ! 本物だ!』ってなりました。想像していたよりずっと喜屋武さんの声が美しかったです」

越岡「うまかったですね。『隅田川ヤングロード物語2』は第1弾を観ていなくてもわかる内容になっているので、ぜひ見に来てほしいです」

■ アドリブは「取っといて本番で出す」(越岡)

福田「いい客席の景色を見たいので、ご協力よろしくオナイシャス!!『隅田川ヤングロード物語』に関しては、顕作さんの頭のなかに先のストーリーがめちゃくちゃあるんですよ。分かりやすいところで言うと、マツ(松崎)の役が犬のポチなんですけど、ポチはまずしゃべれます。犬なのにしゃべれる。それっておかしくない? なんでだと思う?みたいなところで、シリーズ3作目ぐらいにその理由が分かるかもね、とか」

越岡「じゃあ絶対続くじゃん(笑)」

辰巳「そうだよね、しゃべる理由がわからないまま終わりたくないよね」

──松崎さん、ポチの役はいかがですか。

松崎「人間の役じゃないんですけど、びっくりはしなかったんですよ、正直。これまでネズミの役もやってますし。だから『あ、犬か』っていう感覚で。ポチは団子屋の丸福商店の家で飼われている犬のペットで」

辰巳「逆! 逆!」

松崎「ペットの犬です(笑)。まあ、最初は、セリフはあるのかなって不安もありましたけど、しゃべれるということでひと安心で。しかもこの第2弾では・・・」

越岡「喋っているんだよね、結構ね」

松崎「そうなんですよ。冒頭からしゃべってるので。なぜ喋れるかは、ストーリーテラーでもある末吉(辰巳)が説明してくれます。ストーリー的にもポチは自然と溶け込めるようになっていますし、第1弾にはないポチを見せられると思います。あとは自分のなかでも、どう尺を伸ばしていくか楽しみです」

福田「稽古でも、台本にないところで(松崎が)きれいに(尺を)伸ばし始めて。その時、劇団尺伸ばしだなぁって思ったのは、みんな、笑うんじゃなくて『なるほどね』って」

越岡「『そう来たか』みたいな」

松崎「『あ、ここでも(時間を)伸ばせられるな』っていうところをあとでまた見つけたので」

──皆さん、それぞれに「ここいけるな〜」というアドリブをお持ちなんですか?

辰巳「持ってるかも」

越岡「持ってるかもしれない」

福田「みんな隠し持つんですよ。だから稽古場ではあんま出さないです。本番で出すから」

越岡「取っとくよね。取っといて本番で出して、『お前そう来たか』と」

福田「ただ、そのシーンがいろんな都合でなくなっちゃったりすることもあるので、稽古場でもやっておくかどうか。そのせめぎ合いが難しいですね」

越岡「シーンとセットにして、ネタをどこに組み込むかを考えています」

■ とにかく大阪に馴染みたいふぉ〜ゆ〜、野望は?

──YouTubeの公式チャンネルも始まりましたね。

越岡「うれしいですね」

辰巳「チャンネル開設までめちゃくちゃ時間かかったんですよ。僕らはずっとやりたいと言っていて。5年くらいかな・・・? もっと言ってたかもしれない」

越岡「やっとですね。遅いぐらいです」

──いろいろな企画をお考えだと思いますが、これはやりたいというものはありますか?

福田「とりあえずは飲みに行きたいですよね」

越岡「それで、そこにいる方とかと絡みたいっすね」

福田「あと、歩いている方に『ふぉ〜ゆ〜って知ってます?』って聞く活動もしてみたいです」

──通りすがりの方にお声をかけるのは、みなさん得意ですか?

全員「全然いけます!」

越岡「むしろ目的なくしゃべりかけるほうが好きかもしれないですね」

辰巳「怖いな・・・それはちょっと怖い(笑)」

──そういう感じで、大阪の方に聞きたいことはありますか?

福田「まずはふぉ〜ゆ〜を知っているかどうか」

──「知っている」と言ったら。

福田「きっとめちゃくちゃうれしくて、まずYouTubeのチャンネル登録をしているかどうか聞いて(笑)。登録してもらうためにも、僕たちを好きになってもらうためにも、いろんなことにチャレンジしていきたいです」

辰巳「大阪に根付きたいっていうのもあるんですよ。ふぉ〜ゆ〜ってなぜか、大阪出身ですか?って言われることがあるので」

越岡「俺は大阪出身なんですけどね」

辰巳「そう、大阪出身のこっしーがいる。だから、もっともっと大阪に根付きたい。週1で(大阪に)来られるような仕事をゲットしたいですね。僕は、『よ〜いドン!』(カンテレ)さんは準レギュラーだと言っていて。カンテレさんにプレッシャーをかけるためにも、先に(カンテレの近くの)中崎町あたりに古民家を買っちゃって『もう家、買っちゃいました』って言うしかないかも」

越岡「『どうしてくれるんですか』と」

辰巳「そう(笑)」

福田「YouTubeの企画として自分たちでバーとか居酒屋を大阪で開けば、こっちで仕事がありますからね。来なきゃいけなくなりますから」

松崎「ああ、企画で? ありありありあり」

越岡「古民家を買って、2階に4人で住んで、1階でバーをやる(笑)」

──楽しそうですね(笑)。この取材もそうですが、皆さんのどの作品も拝見すると元気が出ます。その明るさはどこからくるのでしょうか。

辰巳「なんだろう・・・。客観的にみんなを見ていると、昔からスタッフさんと仲良いんですよ。今でも衣装さんや制作さんといっぱい会話するし、劇場の座付きスタッフさんの部屋で飲んだりもして。僕、ナチュラルにスタッフさんと仲良くなりたいっていうスタンスのみんながすごく好きで。ちょっとずつ仕事が増えても、そのスタンスは変わらなくて、一緒に飲んでいるスタッフさんたちが『やっとふぉ〜ゆ〜が主演やれるようになったわ』って言ってくれるのを見たとき、すっげえ良いグループだわって思って」

──いい意味で、壁がないのでしょうね。

辰巳「なんかね、媚びを売るとか、そういうことがまったくないなかで、お仕事の応援をしてくれる人が増えているのはすごいなって、客観的に見て思います」

舞台『隅田川ヤングロード物語2〜嗚呼!青春はマサラの香り!〜』は2月24・25日に「COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール」(大阪市中央区)で上演。演出は、舞台『呪術廻戦』も好評を博した小林顕作。東京の下町にある寂れた商店街・隅田川ヤングロードを舞台に、第2弾ではこの商店街が和製マサラムービーのロケ地に選ばれ、今をときめく若手俳優もやってくるというストーリーだ。映画監督役にゴールデンボンバーの喜矢武豊も出演し、ふぉ〜ゆ〜との初共演を果たす。

取材・文/岩本