井筒和幸をはじめ、岩井俊二や廣木隆一といった名監督のもとで助監督をつとめた齊藤勇起監督のデビュー作『罪と悪』。その舞台挨拶が2月10日、「大阪ステーションシティシネマ」(大阪市北区)でおこなわれ、齊藤監督と俳優の大東駿介が登壇した。

20年間前に罪を背負った3人の幼なじみが再会するなか、当時と同じ場所で新たな殺人事件が起こり、それぞれが心の奥にしまっていた過去の事件の扉が再び開き始めるという同映画。齊藤監督自身が脚本を手がけ、罪の真実と正義の在り方について問いかける作品となっている。

自身の監督デビュー作について、「手放しで絶賛してくれる方もいたり、『いい映画だと思う。いいたいこともある』という厳しい兄貴分もいたり。師匠である井筒監督にいたって、怖いので避けてます(苦笑)。映画が終わったあと、みなさんで考察会というか、そういった時間が白熱しちゃうと毎回聞いて、映画の役割としては理想の形ではあるなと」と振りかえった齊藤監督。

また、主演の高良健吾をはじめ、大東駿介、石田卓也、さらには佐藤浩市、椎名桔平、村上淳といった錚々たる俳優が参加。大東が「監督がこれまでのキャリアで信頼を勝ち取ってきた」とその豪華メンバーが集まったワケを明かすと、齊藤監督は「新人監督を応援したいという熱い先輩俳優さんなんで。それにだいぶ甘えて、浩市さんに関しては(台本の)ページ数を増やしました(笑)」と明かした。

撮影は、監督の故郷である福井県でおこなわれ、「上からとか外からじゃなくて、地元のエキストラの人たちと一緒に生活してるような、地続きの世界を撮らせてもらいました。大東さんはすごく街に溶け込むということをやってくれて、撮休になったら街に繰り出して、筋トレ行ったり、銭湯に行ったり、食事に行ったり。それは絶対、この映画のプラスになってる」と語った齊藤監督。

イベントの最後、齊藤監督は「複数ある作品のなか、この映画に来ていただいて、僕らの話も聞いてもらって。デビュー作なので、ここにいるみなさんと共有できたのは財産になるなと思ってます。(観た)1週間後とかにまた反芻して考えてもらえたら、これ以上ない幸せですし、みなさんの心の片隅に残る映画になってもらえたら幸いです」と挨拶。同映画は現在、全国の映画館にて公開中。