1月10日におこなわれる伝統行事『十日戎』で有名な「今宮戎神社」(大阪市浪速区)。毎年、商売繁盛を願う人々でにぎわう同神社で、なぜか「巫女装束」が話題に。着物のイメージがある巫女の衣装だが、同神社ではアウトドアで有名な「mont−bell(モンベル)」(本社:大阪市西区)が手がけているという。

■ 防寒機能や通気性など細部までこだわり

山岳ライターで編集者の森山憲一さんが、写真とともに「大阪・今宮戎神社の巫女さんの冬用着物はなんとモンベル製だそうです。もちろん特注・非売品」とXに投稿。「そうなんだ!」「これは動きやすそう&防寒もしっかりしてそう」「働く現場にモンベル、すごい」など話題となり、5万いいねが集まっていた。

以前より、アウトドア用品を世に送り出してきたノウハウを活かし、企業や自治体の制服を手がけている同社。航空隊の特注ベストや災害医療従事者向けジャケットなど、思わぬところで「モンベル製」が活躍しているというから驚きだ。

同社の広報担当者によれば、今回話題となった巫女装束も、シルエットや色に関しては神社側からの意見を取り入れつつ、防寒機能や通気性など機能面については同社から提案をおこなったという。

たとえば、「袴」でなく「パンツ」型にし作業がしやすいようになっている部分や、袖口をリブにし、冷気が入りづらいようになっている部分は、一般的な衣装とは大きく異なるポイントだ。また、上衣が起毛の裏地付きで保温性が高くなっていたり、鍵や小物を入れられるジッパー付きのポケットが付いていたりと、見えにくい部分で細部にこだわっているのも「モンベル製」ならではだ。

やはり「モンベル製の巫女装束」というインパクトは大きいようで、SNSや神社で衣装を見かけた人や神社でアルバイトをしている人から問い合わせも多数あるのだとか。

一般人とは無縁な巫女装束だとはいえ、防寒性抜群で着心地もよさそうなので、つい欲しくなってしまうのも分からなくもない。なお、巫女衣装は販売もおこなっているそうだが、今宮戎神社の衣装とは襟元のカラーリングが異なるうえ、企業や神社が対象で、個人での購入はできないのでご注意を。

取材・文/つちだ四郎