栄養素の推奨比率に縛られない!

「食事は栄養バランスが大事」とよくいわれます。厚生労働省の「食事摂取基準」(2020年)では、三大栄養素の比率は「タンパク質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%」がよいかのように記載されています。この数字の設定の理由(根拠ではない)は次の通りです。タンパク質は体内で合成できない必須アミノ酸を摂る必要があり、下限13%。上限は35%であっても問題はなかったとする論文があるとした上で、20%以上については今後の検討課題とする論文があるからと、20%にされています。

脂質は、摂取しなければならない必須脂肪酸があるため下限を20%に。上限は飽和脂肪酸の摂取を日本人の中央値7%※を上限にすべく30%としていますが、そもそも飽和脂肪酸の上限を日本人の中央値にすることに理由はありません。

最後の炭水化物の50〜65%は100%からタンパク質と脂質を引いた数字です。糖尿病患者以外に炭水化物(糖質)の摂り過ぎで体に問題が起こる人はいないからという理由なのです。栄養素の摂取を%で考えると、すべての摂取エネルギーを把握しなくてはならず、それは不可能です。%(相対比率)ではなくg(絶対重量)で考える。そして適正な糖質量を守った上で、好きなものをおいしく食べる。これが何より大切なことなのです。

【書誌情報】
『眠れなくなるほど面白い 図解 炭水化物の話』
著:山田悟