作業着の専門店としてスタートするも、今や女子向けやアウトドア製品の分野にも進出したワークマン。とは言え弊サイトでも既報のとおり、アウトドアに関しては「ワークマン離れ」が進んでいるという現実もあります。そんなワークマンに、「将来性」はあるのでしょうか。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では人気コンサルの永江さんが、同社のフランチャイズ加盟者からの質問に答える形で、ワークマンの今後について考察。その上で、質問者に商品ラインナップ等についてアドバイスしています。

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ワークマンに将来性はあるか?

Question

shitumon

永江様、いつも有益な情報ありがとうございます。質問させていただきます。現在、私はワークマンにフランチャイズ加盟しております。ワークマンは現状主にワークマンとワークマンプラスとワークマン女子がありまして、私の店は職人さんや建設土木作業員の割合が多いワークマンです。

ワークマンプラスもワークマンと扱ってる商品はほとんど同じ(若干カジュアル物が多い)ですが、既存ワークマンから名前と店舗什器を少し変えてリニューアルすると売上が上がるので名前だけ変えた所も多いです。最近増やそうとしてるのが作業服を扱わないワークマン女子(男性物も2、3割)で本部としてもそちら方面に力を入れているのかなと感じています。

作業服を使う人口は激減するだろうと思いますが、冬の電熱ベストや夏の空調服などバッテリーを使う高単価の商品も増えていて売上はまだ減っているわけではありません。ですが、将来的に自分の店をカジュアル寄りにしていくのか今のまま作業服を扱いながら本部指定の商品を売っていくのか悩んでおりまして、本部もいろんな業態を出して迷走しているのかなと思います。

永江様も昨年末におっしゃっていましたが、ワークマンは少しダサいですがワークマンアンバサダーなどのインフルエンサーなどの意見を取り入れた振り切った商品が出せるのが魅力かなと思っています。最近は安全靴ではない安い普通の靴やアウトドアシューズやスポーツ向けの靴が伸びているのを感じます。

フランチャイズの制限もありいまからだとSNSや広告など勝手にできないことが多いのですが、付加価値をつけるために刺繍機を導入してお店でできるようにしたり、今後外注していたプリントも機材を入れてお店でできるようにしようと考えております。

永江様のワークマンの今後についてのお考えをお聞かせいただき、何かアドバイスなどございましたらお願いいたします。

永江さんからの回答

店舗が地方か首都圏かによっても変わりますが、首都圏なら、職人向けの作業着は外さない方が良いと思います。アウトドアやカジュアルファッションの市場は伸びないし、競合ブランドがある中で購買理由がないからです。

まず先にワークマンのフランチャイズはとても良心的で、店舗にも利益が出るようになっているので同じフランチャイズでもここを選んで良かったと思いますw。今後の店舗の売上を考えると、本筋の職人向けの作業着や機能性重視のコスパの良い商品ラインナップは維持すべきでしょう。

ワークマンのアウトドアはコロナ禍で大幅に売上が伸びたと思いますが、それはアウトドア初心者が始めるときにとりあえず安く買い揃える入門用の需要を獲得したからです。初心者もステップアップしていくと、ノースフェイスなどアウトドア専門店でデザイン性の高いものを買うため離れていってしまいますし、コロナ特需も一巡して大きく伸びる勢いはなくなってきました。

わたしもワークマンで買うのは、海釣りでびしょ濡れになっても丸洗いしても良いような長靴や、スノボのときに暖かいメリノウールなど、安くてコスパの良い数品だけです。本当にアウトドア好きな人からするとノースフェイスなどがある中で「ワークマンのアウトドアを着よう」とは考えづらいです。

ワークマン女子などカジュアルな路線を本部が押しているのは、これまで獲得できていない客層の売上を増やすためでしょう。フランチャイズの各店舗単位で考えて女子向けのカジュアルファッションやアウトドアの市場を狙うのが最適かは分かりません。市場が伸びる訳でもなく、競合ブランドに対して勝ち筋が見えない中ではおすすめはできず、底堅くシェアの高い作業着や費用対効果の良い機能性の優れた商品ラインナップは堅持した方が無難だろうと思います。

作業着を着る人口は、減るものの激減したりすることはなく、外国人労働者も呼びこまれて一定数の需要は維持されるはずです。刺しゅうなどを店舗でできるようにしているのは工務店などのニーズにも合致していてとても有効ですし、まだまだ重用頂ける余地はあるでしょう。

ただもちろん、もしお店が地方にあって、商圏内にはアウトドアの競合店が全くなくて勝ち筋があるとか、女子向けの需要が旺盛に期待できるなどの状況があったら話は変わります。店舗単位で考えると店舗地域の市場や競合の状況などは大事なので、ここまでの回答で不足するところがあればまたご質問くださいね。

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