あなたは正しい言葉を理解して、正しく使えていますか? 無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、経営者が知っておくべき言葉について詳しく説明しています。

優れた経営者は言葉を間違えない 1.漢字を正しく読めない経営者

かつて、国会で「未曽有」を「みぞうゆう」、「云々」を「でんでん」と言った大臣がいました。ずい分とひんしゅくを買ったものです。たった一つの漢字の読み方を間違えただけで、周りからバカにされます。それほど言葉を正しく覚えることは、大切なことです。

では、あなたは次の漢字を、どう読んでいますか?

「思惑」「相殺」「代替」「言質」「三位一体」

「三種の神器」「杜撰」「矜持」「進捗」「瑕疵」

正解は、以下です。

「おもわく」「そうさい」「だいたい」「げんち」

「さんみいったい」「さんしゅのじんぎ」「ずさん」

「きょうじ」「しんちょく」「かし」

これを、次のように読んでいる人がいます。

「しわく」「そうさつ」「だいかん」「げんしち」

「さんいいったい」「さんしゅのしんき」

「とせん」「きんじ」「しんぽ」「かひ」

立派な話をしている最中に、こうした間違いがあると、一気にその人の評価が下がります。ですから、経営者たる者、言葉は正確に使わなくてはなりません。

では、どうして誤読をするのでしょう。恐らく、誤読を気にしていないからです。また、権力のある人に、誤読が多いと言われます。それは、周りが誤読を指摘してくれないからです。

本人が素直でないことにも原因があります。素直でない人は、間違いを認めません。

一方、誤読をしない人は、勉強家です。語彙力を高めるためにも、本を多く読みます。とにもかくにも、経営者には語彙力が必要です。

ちなみに、次の漢字は正しく読めるでしょうか。

「所謂」「遡及」「直截」「更迭」「生業」

「疾病」「順風満帆」「破綻」「生憎」「所以」

読み方は次の通り。

「いわゆる」「そきゅう」「ちょくせつ」「こうてつ」

「なりわい」「しっぺい」「じゅんぷうまんぱん」

「はたん」「あいにく」「ゆえん」

どれも、ビジネスシーンでよく使われる言葉です。正しく書けることも必要ですので、「読み方」から漢字を書いてみましょう。

2.最近よく使われる横文字

さて、漢字の読み方も大事ですが、横文字を頻繁に使う人がいます。経営コンサルタントは、職業柄横文字をよく使います。大企業の経営者も、やたら横文字のオンパレード。ベンチャー企業の若い経営者にも目立ちます。

それに対して、スポーツショップの経営者からは、なかなか横文字が出てきません。別に無理して使う必要はありませんが、ある程度知っておくと良いです。

そこで、最近よく使われる横文字を簡単に紹介します。

・コンプライアンス(compliance 法令順守)

法令や規則、倫理や社会規範を守ることです。企業の不祥事が多発から、強調されています。

・エンパワーメント(empowerment 自律性促進)

企業の変革を推進する主体となる力をつけることです。

・リスキリング(reskiing 技能の学び直し)

技術革新やビジネスモデルの変化に対するために、新しい知識やスキルを学ぶことです。

・パーパス(purpose 存在意義)

「目的」や「意図」というのが本来の意味ですが、近年は「企業の存在意義」を表す意味で使われています。

・コーポレートガバナンス(corporate governance 企業統治)

企業の不正行為を防止して、効率的な企業経営を行うために、監視、統制をする仕組みです。

・コアコンピタンス(core competence 得意分野)

企業の競争力や創造力の素となる、他社が真似のできない中核的能力のことです。

・スタートアップ(startup 新興企業)

創業間もない企業で、革新的なアイデアや最先端の技術をベースに、社会に変革をもたらす製品やサービスを生み出すために設立した起業のことを指します。

・ケイパビリティ(capability 能力、才能)

企業全体の組織的な能力のことです。ケイパビリティの集まりがコアコンピタンスになります。例えば、「スピーディな製品開発力」がケイパビリティであれば、コアコンピタンスは「技術力」ということです。

・エンゲージメント(engagement 契約、約束、信頼関係)

消費者が企業や商品に対していだく、愛着や親近感です。顧客との関係性を表します。また、従業員が会社に対して持つ愛着といった関係性も、エンゲージメントです。

・レジリエンス(resilience 回復力、しなやかさ)

災害やパンデミックといった、不測の事態に対する復元力を意味します。社会の変化、市場の変動などの変化に対応できる組織の柔軟性のことです。

・コミットメント(commitment 約束、言質、責任、関与)

会社から与えられた約束や責任のことを意味します。または、約束や責任を果たすことです。

こんな言葉を知っているだけで、雑誌や新聞の記事が理解できますし、横文字連発の人の話が分かります。ただし、これも漢字と同じで、言葉を正確に覚えなければいけません。

例えば、サステナビリティをサスナビリティと覚えてしまえば、恥をかくことになります。ですから、知らない横文字が出てきたら、面倒がらずに検索してみましょう。

また、言葉の意味を間違えて使っている人もいます。気をつけなければいけません。

3.経営用語を知っておく

最近の横文字だけではありません。経営者は、経営の専門用語も知っておく必要があります。

例えば、次のような用語です。アトランダムに書き出してみます

・キャリアパス

昇進を含めた配置異動のルートと、異動のための基準、条件のことです。

・製品ライフサイクル

生き物と同じく、製品にもライフサイクル(導入、成長、成熟、衰退)があるとする考え方。

・コンティンジェンシープラン

環境変化を想定した、経営計画のことです。

・インストアマーチャンダイジング

製品の見せ方と消費者へのアピールを重点にして、店内販売力をつける方法です。

・バリューチェーン(価値連鎖)

企業が提供する製品やサービスは、原材料から完成品までを取引の流れにそって価値が付加されていくという考え方です。

・IPO(イニシャル パブリック オファリング)

新規公開株式、新規上場株式と訳されます。未上場株式が、証券取引所を通じて新しく株式公開をすることです。

・HRM(ヒューマン リソース マネジメント)

かつては「人事労務」と言われていました。近年は、「人的労務管理」と言われるようになっています。

・KPI(キー パフォーマンス インディケーター)

組織が達成すべき目標を、数量的に表した、KGI(キー ゴール インディケーター)を達成するために取り組む、個々の目標数値のことです。

・PBR(株価純資産倍率)

株価が「一株当たり純資産」の何倍かを示す指標です。

・PER(株価収益率)

株価が一株当たり利益の何倍かを示す指標です。

いやはや、経営用語も横文字が多いですね。知っている用語は、どれくらいありましたか?

これらは、それほど新しい用語ではありません。しかし、経営戦略を練る時に必要な知識です。ですから、経営用語を知っておくことも、経営者には求められます。

ただし、これらの用語の内容は、それなりに勉強をしないと、理解できないのではないかと思います。漢字と同じように、学習をすることです。そうすれば、優れた経営者としての評価も手にすることが出来るでしょう。

どうか、頑張ってください。

■今日のツボ■

・経営者は、漢字を正しく読めないと信頼性が下がる。

・経営者は、横文字も知っておかないと、話が分からない。

・経営用語を知っておくには、それなりの勉強が要る。

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