昨今、景気の悪化がたびたび報じられる中国。その波は新興企業をも容赦なく襲い、現在もとあるスマートカーのスタートアップ企業が倒産寸前にまで追い込まれているといいます。そんな中国で、これまでになかった動きが見られ始めたと伝えているのは、日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』。今回の記事では、中国自動車業界のご意見番による提言内容を紹介しています。

倒産寸前の新興企業も。自動車業界のご意見番が中国政府に求めること

インテリジェント・ヴィークル(IV)ブランド「高合(HiPhi)」を展開するスマートカー分野のスタートアップ華人運通(Human Horizons)が倒産に向かっている件について、中国では今まで見られなかった動きがある。

中国新興の没落は珍しくないが、その課題が深く掘り下げられ、その対応を国として取り組むべきだ、との提言が出ている。

経営不振のメーカーを健全かつ柔軟に同業他社が吸収合併できるようなメカニズムを構築、社会的ロスを予防しよう、というもの。

中国自動車業界のご意見番が提言した内容

提言者は、中国新興メーカー理想(Lixiang)ファウンダーの李想CEO。

「経営不振の会社を吸収合併することによる社会的ロスを10とすると、経営不振で倒産した際の社会的ロスは100だ」

「米国ビッグ3(フォード、GM、クライスラー)も過去100年、熾烈な競争や吸収合併を通じて今の状態になっている」

などと指摘。

自身も新興でありリスクがある状態と言えなくはない李CEOだが、2023年の急躍進、2024年も急成長継続に自信をのぞかせているだけに、何やら中国自動車業界のご意見番にもなりつつある。

ようやく指摘された「ごくごく当たり前」の問題

今までも中国では自動車メーカーの倒産は珍しくないが、今回、以上の提言を踏まえて、メーカーが本当に倒産した場合、工場やその生産能力が放置される、従業員への給料未払いが発生する、販売店やユーザーが見捨てられる、というごく当たり前の問題が指摘されている。

特に興味深いのは、従来ガソリンメーカーの場合、多くがそれらの株主がしっかりしており、倒産・撤退したとしてあまり問題はないが、新興や新エネルギー車(NEV)専業メーカーの場合、今までの蓄積や後ろ盾がない分、倒産後の問題が悲惨、との分析が行われていること。

例として、広汽集団と合弁していたフィアットや三菱自動車はそれぞれ中国撤退を決断したが、その生産能力や従業員の就業は広汽集団に引き継がれ、ユーザーのサポートも広汽集団傘下の販売店で実施されており、撤退によりもたらされる混乱を最小限に防いだ。

過去には北京ヒョンデの工場を再利用の実績も

生産能力余剰が課題となっていた北京ヒョンデの北京工場を接収して再利用した実績のあるLixiangの李CEOは、「国が主体となって、自動車企業の合併や買収の体系、メカニズムを整備、その中には生産ライセンスの問題を含め、検討されるべきだ」とした。

出典: https://auto.gasgoo.com/news/202402/22I70383256C108.shtml

※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。

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