学校教員の役割や学級のありかたについて今までも多くの知見を広めてきたメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』。その著者で現役小学校教師の松尾英明さんは今回、学校教育における「リーダー」とは何かについて語っています。

「リーダー」とは何か

学級担任は「リーダー」である。自治的学級を志向しようが、やはりリーダーである。色んな説があるが、それはやはりそうだと考えているので、その立場で書く。

日本では「リーダー」と言う言葉が曖昧であるという。それは最終責任者のことなのか。方針を示し、集団の同意を得る役割のことなのか。はたまた、業務を指示する役割のことなのか。

例として上記に挙げた3つは、どれも違う役割である。

最終責任者は、管理職である。会社で言えば最高経営責任者(CEO)が該当する。つまり、学級担任はそこまでの役割ではない。最終的な責任を負いきれないからこそ、校長の命令に従う義務がある。一定の責任範囲しかないのが現実である。

では、方針を示し同意を得る役割はどうか。これは、校長が示す。それを受けて、学級担任も示す。この役割も、やはり一定の範囲内ではあるが、ある。

業務指示はどうか。これも先と同様である。

つまり、学級担任は「リーダー」におけるどの役割も、一定の範囲内でもっているといえる。

今回提案したいのは、これを混同しないことである。

どれが得意で、どれが得意ではないのか。人によって違うのである。

責任を取る腹を括れるし決断も得意だが、後は任せた(親分肌)というタイプか。

方針やアイデアを示すのは得意だが、責任をとったり業務を回したりするのは苦手(勢いは人一倍)というタイプか。

責任は御免で方針を示すのも苦手だが、定められたことはきっちり回せる(人前に出るより実務が得意)というタイプか。

それらの混同タイプか。

自分の適性を知ることである。現実の姿として、全部もっている人というのは「ほとんど」いない。なぜならば、チーム内(学年団、あるいは子ども集団)で役割分担が為される方が上手くいくからである。(全部もっている=他人の特性を生かせない=良いリーダーとは言えない となるからである。)

自己認識と同じぐらいに、チーム内の特性把握も大切である。例えば自分がアイデアマンタイプであっても、チーム内にもそういう人がいたら、そこを譲って責任側に徹底的に回る方がいいこともある。

学年集団、子ども集団はどうだろうか。

自分が若手であれば、学年集団における責任者ポジションは確実に無理である。代わりに何ならできそうだろうか。

逆に自分が学年主任であれば、責任者ポジションは逃れられない。(ここは対子ども集団では絶対のデフォルトである。)その上で、どこは任せられるか、自分がやるべきか。チーム内の特性把握が必須である。

チーム内が自分よりも若手だらけなら、全部仕切るのは得策ではない。やたら自分が出るよりも、新鮮なアイデアをもらって、多少無理な業務でも回してもらった方がよい。

自分が学年主任であっても、自分と同レベルの経験者、あるいは上の人だらけということも有り得る。その場合、責任者の部分だけもらって、後は任せる方が得策である。(大抵、メンバーがそれぞれの思惑で上手くやる。自分が出しゃばるとろくなことにならない。)

子ども集団で考えると、相手はどういう子どもたちか。高校生や中学生相手の場合はもちろん、6年生と1年生では当然違う。どれぐらい任せるべきか、教えるべきかを調べる期間である。

4月のこの期間は、とりあえず方針を示し、何をすべきか明示するというのが良い。変更は後でいくらでもできるが、最初から無策はまずい。

学年集団づくりや学級づくりのステップも、集団の状態、メンバー次第である。「絶対これ!」と思い込みすぎず、聴診、打診をしながら調整していきたい。

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