抜群の能力を持ち次々と仕事の成果を上げるも、「昇進」にまったく興味を示さないという人材のエピソードを耳にすることは少なくありません。そんな部下の姿勢に悩む方からの相談に答えているのは、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さん。赤羽さんはメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』で今回、「愛着障害」をキーワードとして、昇進試験の受験を頑なに拒む部下が持っていると思われる「部下マネジメントへのアレルギー」を解消させる方法をレクチャーしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

優秀な部下がどうしても昇進試験を受けてくれません。部下を持つなど真っ平ごめん、という感じです。どうやったらその気になってくれるでしょうか

Question

shitumon

メーカーで機器開発の課長をしていますが、優秀な部下がどうしても昇進試験を受けてくれません。仕事のセンスはかなりよく、次々に成果を出してくれます。今32歳で、院卒での入社8年になり、リーダーへの昇進が上層部からも期待されています。ところが、本人は昇進試験を頑なに拒んでおり、困っています。部下を持つなど真っ平ごめん、というのも、仕事がものすごく速く、下手な部下を持つと、お守りすることになるのを嫌がっていると思います。どのように説得すれば、その気になってくれるでしょうか。

赤羽さんからの回答

ご相談、どうもありがとうございます。ときどき、こういう方がおられます。前職や前の上司からの経験で、会社に対してややシニカルな見方をしている状況です。

頭はよく、仕事はできることは多いですが、人としてやや斜めに見がちなところが特徴です。

私の経験上、この手の方は前職や前の上司からの影響以上に、親の影響で何らかの愛着障害があり、人に対する不信感が根底にあるように思います。

愛着障害があれば、人との距離感には課題を感じるので、考え方・価値観が少しおかしくなります。

会社としては惜しい人材なので、どういう対策が必要でしょうか。

まずは彼の話を十二分に聞いて、信頼されることです。

信頼されれば、本音で話してくれるようになります。何が一番気になっているのかを把握し、つぶしていく必要があります。

多くは、部下マネジメントへのアレルギーだったり、人への関心のなさだったりします。これは愛着障害の結果なので、どちらも愛着障害の軽減を進めていきます。

具体的には、本人に信頼され、何でも相談されるようになり、その内容が愛着障害による人間関係上の課題であることを把握します。その後、軽減への働きかけをします。

愛着障害について最初から言い出すと、反発されますので、まずはアクティブリスニングの重要性を説明し、コーチングしていきます。

アクティブリスニングの重要性は上司が体現することで早めにわかってくれます(上司ができるかどうかがむしろチャレンジですが)。そうすると、本人もアクティブリスニングをやろうとしますが、愛着障害がある限り、なかなかできません。

そのへんから、なぜアクティブリスニングができないのか、承認欲求がわざわいしているのではないか、承認欲求がなぜ起きるのか、というふうに話を進めていって、愛着障害について紹介します。

このくらいのステップを踏んでいれば、反発されることもなく、愛着障害に関する本を読んでくれたり、親に対する多面的なA4メモ書きをしてくれたり、親への手紙を書き始めてくれたりします。

愛着障害が軽減されるとともに、彼の部下マネジメントへのアレルギーが解消されていくでしょう。

ぜひやってみてください。

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